二つの “古民家建築” |
その一面を飾っているのは、GDP(国内総生産)が、年率換算でマイナス12,7%と、第一次石油危機の影響を受けた1974年依頼の、35年ぶりという戦後二番目のマイナス成長となった・・という記事だ。GDP・・いわゆるストックに対するフローをあらわす指標なのだから、それが今後どんな“カタチ”で私たちをボディーブローのようにじわじわと襲ってくることになるのか、そんな底知れない怖さを感じる。
そして、その横には、中川財務・金融大臣が、泥酔か風薬かは別として、G7後の“ふらふら記者会見”の様子を伝える記事。
世界中に発信されてしまった見苦しい姿・・・ただでさえフラフラの麻生内閣だというのに、この国の舵取り役が、何と酒飲み運転だったとしたら、私たちは、沈没する恐れのある船に乗っている・・ということになるのだろうか?。
さて、かねてより工事中だった二つの住宅も、先日までの陽気のお陰で工事も順調に進み、古民家再生となった住宅建築はようやく仕上げに入り、数十年前の元の姿を現し始めた。
今では手に入れることすら難しいという太く長い欅の梁が、真っ白な漆喰壁を背景にコントラストも強く、杉の柱と相まって建物を支える骨太な構造美が見事に浮かび上がった。今後、1枚板で作られた当時の建具がはめ込まれれば、住宅展示場によく見られるハウジングメーカーのあのひ弱な“はこ”を、圧倒する建築空間が完成する。
一方、職人の見事な技による引舞い工事も修了し、事前に完成していた新しい住宅に、いわば新旧の建物がミリ単位の誤差で、先日見事に合体を果した。今後は、外壁や屋根やサッシも新しいものに交換され、古建築の再利用が完成する。
この二つの建築の、昔の大工や左官や建具などの巧みな職人技に触れながら、工業化などの合理化の裏で、年々現場から消えていく職人たちを垣間見るとき、私は、時代の流れとは言え・・・心の底から無念でならない。