2009年 03月 09日
ベン・シャーン 『ラッキー・ドラゴン』 |

(左:画・吉井 忠)先日、福島市出身の画家「吉井 忠」の作品展を観ようと、午後から車を走らせ福島県立美術館を訪れた。画家「吉井 忠」の、けっして明るくはない画風ながら、大胆な筆のタッチから生まれる力強さと、「吉井 忠」の自分への“内”に向けられた鋭いまなざしに、私は不思議な魅力を感じながら、あっという間に時間が過ぎた。閉館の時間にはまだ余裕があった私は、常設展示をゆっくり鑑賞しようと場所を変えた。その収蔵作品の中には、福島県出身の画家に混じって、世界の名画が何枚かあったのだが、そこで私は、思いもよらず20代のころから魅せられ続けているアメリカの画家の絵数枚に出合い・・心が躍った!
私は以前から旅行が好きで、30数年前の県庁職員時代だったろうか?、東京の画廊を廻っていた時に、何故か1枚のポスターに釘付けにった。当時貧乏生活・・ながらも、どうしてもそのポスターが欲しくなり、確か値段は一万円くらいだったろうか、迷った末にとうとう購入。それから十数年、そのポスターが日焼けしぼろぼろになるまで、私の部屋を飾り続けたのだった。そのポスターの画家は、リトアニア生まれのアメリカを代表する画家“ベン・シャーン”。私はその後、彼の画集を買い求め、時々開いては新鮮な刺激を受け続けてきた。そして先日、福島県立美術館で、偶然にも“ベン・シャーン”の本物の絵に出合えたのだった。
その絵は、1954年、ミクロネシア・マーシャル諸島のビキニ環礁附近で行われた、アメリカの水爆実験によって死の灰を浴びた日本のマグロ漁船「第五福竜丸」(ラッキードラゴン)、この死の灰に関したアメリカ人医師の記事に挿絵を担当したベン・シャーンは、人間の尊厳を脅かすその恐怖に衝撃を受け、その後11点の「ラッキードラゴン」シリーズを発表していた。その1枚がこの福島県立美術館に所蔵されていたのだ。(右)私は、又久しぶりにベン・シャーンの不思議な魅力に取り付かれ、以前読んだベンシャーン著「ある絵の伝記」を、物入れの奥から探し出し、懐かしさに浸りながら読み返してみたり・・・。そして、私はもう一度ベン・シャーンの絵に囲まれてみたくなり、画集を書店で探し回るも見当たらず、結局図書館にあった分厚い画集を借りることにし、先日私はそのベンシャーンの絵に囲まれた。(冒頭の写真)
その後、その「ラッキードラゴン」シリーズは、詩人でエッセイストのアーサー・ビナード氏の文と共に数年前『ここが家だーベン・シャーンの第五福竜丸』という絵本となったのだが、先日、私はそれを何故かたまたま訪れた余目市にある「庄内町立図書館」で読むことが出来た。
下は、その一部
・・・・・・・・・・いきなり 西の空が 真っ赤に もえた
「太陽がのぼるぞぉー!」と ひとりが
さけんだ
西の空の 火の玉は 雲よりも 高く
あがっていた
けれど ほんものの 太陽は 東の空に
のぼる
にせものの 太陽みたいな
ばけものが うようよ
もくもくと もがいているのだ
・・・・・・・・・・
ベン・シャーンの絵とともに、死の灰を浴びた「第五福竜丸」の悲惨さが、
まるでリアルな映像となって迫ってくる!
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