その花は・・“ヒメヒゴタイ”・・だった! |
暫くして、折り返してはトツトツと、そして又折り返しては下山を続けていると、目の前の景色は次々と現れては消え、又表れる緑の葉が交差する光景。まさに千歳山の懐を駆け巡っている・・という実感が心地よい。登山口の大鳥居を潜り抜けて千歳山を降り、水平なアスファルトをトツトツと自宅に足を運ばせれば、又、気になる数本の花の前を通った。以前から、“アザミ”にも似たこのひっそりと咲く花の前を通る時、歩きながらも何故か暫く見詰めてしまう。
・・・「ヒメヒゴタイ」は、日当たりの良い山地の草原に生える多年草で、茎は50~150cm、縦に稜があり、全体に細かな毛が生えている。葉は深く切り込み裏面に腺点がある。8~10月、紅紫色の花が多数咲く。総蓬苞には膜質の付属体が付いている。ヒゴタイに比べて小型であるので、姫ヒゴタイとなった。・・・のだという。
私は、その瞬間、この「ヒメヒゴタイ」の花が、何故かとてもとても・・いとおしく思えてきた。そんな野草園で、爽やかな風に漂う花の臭いを体いっぱい吸い込みながら、ふと道端に咲いたこの花に、思わす、「可愛い~綺麗だぁ~。」と独り言。それは、「秋の七草」の一つ、可憐に咲く「ナデシコ」の花だった。
この花は「秋の七草」の一つで、その七草とは、女郎花(おみなえし)・・尾花(おばな:薄(すすき)のこと)・・桔梗(ききょう)・・撫子(なでしこ)・・藤袴(ふじばかま)・・葛(くず)・・萩(はぎ)の七種。
「春の七種」とは違い、「秋の七草」で直接何かをする行事は特にないというが、秋の野の花が咲き乱れる野原を「花野」(はなの)といい、花野を散策して短歌や俳句を詠むことが、古来より行われていたという。「秋の七草」は、「春の七草」のように食べたりはせずに、その美しさを眺めて楽しむもののようだ。「春の七草」も、私は何度覚えても一つか二つは思い出せないものだが、この「秋の七草」を忘れないためには
・・・「お・す・き・な・ふ・く・は・・」・・と覚えるのだと知った。