“ノンアルコール・ビール” 売れてる・・とは言うけれど |
キリンのFREE350mlの缶をプシュッ・・と開ければ、その音までもがビールに感じてくる。グラスに注げはその色といい、炭酸の泡といい、ここまでは確かにビールのようだ。ちょっとだけ、その泡立ちが弱い感じだが、まぁ~・・見た目はビールである。そして、おもむろに口に運べば、その味とのどごしは、確かにビールのようではある。グラスに注ぎ足しながらこの350mlの缶一本飲み干した頃に、アルコールではない何か大事なものが欠けている感じがしてきた。それに、グラスに泡だったその泡も、見る見る消えて行き、炭酸もどこか弱い感じで、気の抜けた発泡酒・・といったところだろうか。
ビール党の私でも、この“ノンアルコール・ビール”は、どこかいただけない。でも、よくぞここまでビールに近づけてくれたものだと関心させられるが、もう一歩、あの喉ごしと独特の香ばしさを出す手立てはないものかと、・・期待感に溢れながら始めて飲んだこの“ノンアルコール・ビール”だが、私は、どこか拍子抜けしてしまった感じだ。
考えてみれば、これまで、飲みたくとも決して許されなかったアルコール飲料でも、これなら車を運転しながら飲めるということだと思うと、すごいことに思えてくる。アルコールを飲めない妊娠中や・授乳中など、それに病気の療養中だったり、未成年者や、何と言ってもアルコールが苦手な人、それに休肝したい人などといった、様々な立場の人がこの0.00%という新しい領域の商品に飛びつくのだろうか。たくさんのビールファンも含め、様々なひとが待望の視線を注いでいるのはわかる気がしてきた。
余談だが、「劇団山形」に所属している私は、公演本番で、ビールに似せようと麦茶に炭酸を入れたりと、苦心した記憶があるが、そんな時もこれなら使えそうだ。
だが私は、車に乗りながらもこの“ノンアルコール・ビール”を飲もう・・とは思わないし、ビールを飲みたいけど飲めない場所でも飲めるといった、ビールに限りなく近づいたビールのような飲み物・・ではなくて、ビールとは全く違う別の新しい飲み物なのだと思ったほうが私には解りやすい気がしてくる。・・なぜならば、やはり一日の仕事をこなし、さてと、今日の終わりにようやくたどり着いた、・・そ時の冷たいビールをゴクンゴクンとのどごしを味わい、ストレスを徐々に薄めてくれる。そして、ほろ酔い気分で一日が過ぎる・・といった、その感覚は、この“ノンアルコール・ビール”では所詮無理なのだから。
私は、ビールが飲みたい時は、許される場所で・・やはり”ビール”を飲みたい!。