秋の香り!・・秋の音! |
私は今日、思い出したように、暫く出ていなかったベランダに立ち、低い太陽の強い光を受ながら思いっきり深呼吸をしてみる。そして、コントラストも美しい、秋晴れの青い空と、日増しに色付く千歳山とを眺めてしまえば、当然のごとく、又、千歳山の懐に潜りたくなる。
トツトツ・トツトツ・・と、何時ものリズムで登り続ければ、体はほんのり汗ばみ、そこに穏やかな陽気も加わって、「Tシャツ一枚でも良かったかなぁ~・・」と思いながら、私は長袖シャツの袖を肘までまくり上げた。時々スゥ・・・ッと、通り過ぎる秋風がその腕に触れ、とても気持が良い。そして、時々呼吸のリズムを止め、大きく息を吸い込めば、その爽やかな秋風と一緒に“秋”の香りが体に染み込む。何と言う清々しさだろうか!、私は、充実したその一秒一秒、全身で“秋”を感じながら、ひたすら登り続けた。
(登山道は、たくさんの枯れ葉で覆われている。上)
そして、山頂に近づくにつれ、ポツ・・カサ・・ポツ・ポツ・・と、まるで小雨でも落ちてくるような音がして、私は、登山道の足元から視線を外し、木々の回りを見渡してみれば、カラカラに乾いた枯れ葉がヒラヒラと落ちてくる音だった。たまに、突風が吹けば、ザザザザァ~・・・と、まるで夕立のような音を立てる。そんな山頂近くでは、まるで冬支度を急いでいるかのように、常にその落ち葉の音が絶えることはなかった。今だから味わえる、まさに“秋の音”。
今日は土曜日とあってか、私のように秋晴れに誘われた登山客が多く、この千歳山の懐で、“山”の魅力をともにした。
山頂で暫し息を整え、下山を続ければ、足元に差し込む日差しに葉の影が揺らぎ、つい足を止め見上げてみれば、茜色に色付いた紅葉の葉の美しさに魅せられる。