バンクーバー “閉会式の知恵” |
だが、その出だしの状況がこれまでとはちょっと違っていた。屋内競技場BCプレースの中央にある聖火台には、何故か聖火が既に消えている。開会式で、出てこなかった聖火台の一本が、又も床下に沈んでいるようだ。どうしてか・・と思いきや、腰に大きなペンチなどの工具をぶら下げた“道化師”が、修理は終わったのだ・・と言うように、何とその聖火台の穴から這い出てきて、そのことを、むしろおどけてみせたのだ。そして、おもむろにその一本の聖火台が徐々に動き始め、所定の位置にたどり着いた。そして、あらためて聖火が灯されたのである。あの、開会式での失敗は、この演出によって見事に取り戻された。失敗をもろともせず、むしろそれを演出し、笑わせてしまうカナダ人の・・いや、”にんげん”のこの知恵は、むしろ、感動さえ生む。
地球上に生き抜く人間の、冬の祭典、「冬季オリンピック」。その閉会式で、次々と演出される音楽や画像や照明は、見事だ。聖火が徐々に消え、その屋内競技場BCプレースの中央には、音楽にノリノリの世界各国の選手が入り乱れ、とところどころで選手同士の交流が始まる。少なくとも、そこには明らかに国境は見えない。
「この映画祭で、私が改めて思うのは、私たち人間は皆家族であり、映画には、国を隔てる違いなどなにもない。ドキュメンタリー映画のこの貴重な記録は、私たち家族の共通の財産なのだ。」!
(たぶん、正確ではない。)
今日の閉会式で知ったのだが、カナダ人は、何に付け、直ぐに“ゴメンナサイ”と、誤る国民性なのだそうだ。仕事を終えた今日の夜、ゆっくり録画で感動しようと思っている人には、私から、“ネタバラシデ、ゴメンナサイ”。
バンクーバーの二週間後は、今度は「パラリンピック」で、再び賑わいそうだ。