千歳山に登る予定だった日曜日は雨、ならば昨日の月曜日には・・と思えども、早朝ベランダに立てば、恨めしいほどの、またしても雨。・・・ならば、雨具を身に付け登って見るか・・などと思いながらも、つい登ることを諦めてしまった。そんな昨日の夜遅く、ベランダ・・ではなく、5階にある我がマンションのドアを開け、久しぶりに反対側の廊下に出て、窓を開けてみた。すると同時に、街の臭いと冷たい雨が入り混じったような・・何故か懐かしい夜の香りがした。それは、千歳山で感じる香りでは勿論なく、もしかすると、何時か訪れた遠い街の、心地よい夜の香りの記憶だったのかもしれない。私は、その香りを楽しむように、体いっぱいに吸い込んでみた。そして。目の前に広がるその夜景は、幻想的にも煌びやかな、摩天楼でも・・100万ドル・・でも無い、何処にでもありそうな山形の夜の静かな夜景なのだが、そこに、優しく点在する生活の温かな灯りが、その夜の心地よい香りとあいまって、とても美しい。この光景は、私は以前から大好きだ。(下)
さて、春が、急ぎ足で訪れていることだろう千歳山は、私は、何時登ることにしようか・・と、今日も早朝、ベランダに立ち、鉛色の空を見上げた。