今日は衣替えの10月1日。早朝ベランダに立てば、晴天の青空に清々しい秋の香り。衣替えとは言え、今日ならまだショートパンツに半袖シャツで登れそうだ・・と、早速着替え、マンションを出た。
肌に触れる風の感触と、近くで草を刈る音、その草の青い臭い。歩く早さに沿って流れる回りの景色。トツトツ・トツトツと聞こえる自分の足音、そこから伝わるアスファルトの感触。そして、今日も登山口の鳥居をくぐった。
だんだんと遠のく車の騒音。足元には小さな小さな生き物達、そしてか細くも甲高く響き渡る鳥の鳴き声。時々いとおしくも感じる生き物達とのこの絶妙な距離感。暫くして「ヤッホー・・」と、遠くからこだまするたきくさんの子供たちの声が聞こえた。そしてすれ違った子供たち(下)。
カサカサと音を立てる枯れ葉。又風の香りに、僅かに揺れる木洩れ日(上)。「あぁ~・・気持いいなあ~・・」と心で叫んで、思わず髪を両手の手櫛でかき上げた。時々差し込む日差しの眩しさに目を細める。足から伝わる土の感触、ジャリ・・と石がころがる乾いた音、そんな登山道にはところどころに豪雨の痕跡。時々横切る空を飛ぶ鳥。そして、山頂からは何時もの風景。
・・だがその風景は、何故か今日は懐かしさのような気持にさせた。・・・似た昔の故郷の風景。・・・木造校舎の学校。・・・通学の電車の音。・・・秋の緑の色。・・・夕焼の色。・・・流れる雲の速さと、真っ直ぐ続く白い飛行機雲。・・・心浮き立つ遠い思い出。私は、今も昔のように時々遠い遠い山並みを眺めたくなる。そして今日も、坦々と流れる時間。
山頂付近は、いよいよ色付き始めた。
下山途中、深い木陰に僅かに灯る木洩れ日が、幻想的なまでの美しさを感じさせ、暫し足を止めた。