こんな時・・・やっぱり登山! |
トツトツ・・と、ひたすら自分の足元だけを見詰めながら・・・・・先日の「東京消防庁」記者会見でのこらえきれなかった「冨岡:総括隊長」の涙を思いだし、私は又胸が熱くなっていた。それに、瓦礫に向かって妻の名を大きな声で叫び、そのままうずくまる夫。・・・隣人の中国・韓国、それにアメリカ・ロシア・ニュージーランド・・などなど、いち早く世界中からレスキュー隊や支援物資が届いた。・・・「若い人・・いっぱい亡くなて・・喜んでええなだべがなぁ~・」と言って涙を流す、救助された80歳のおばあちゃん。・・・瓦礫の中から救助され、「お世話になりますぅ~!」と言って頭を下げるおばあちゃん。・・・「怖かったね!熱かったね!」と言って、亡くなった我が娘の真っ黒に焼け焦げた車に、泣きながらお菓子を入れる母。・・・避難所を廻り、お父さんとお母さんとおばあちゃんを探す小学三年生の少年。・・・「ちくしょう~!・・ちくしょう~!」と叫びながら、華奢な一本の枝を持ち、瓦礫を掻き分け掻き分け誰かを探し続ける年老いた男性。・・・「ありがたい・・ことですぅ~。」と、両手で拝むように一個のおむすびを手にする被災者の腰の曲がったおばあちゃん。・・・そして、たくさんの人の命を飲み込んだ真っ黒な海・・・・
・・・「おはようございまぁ~す!」との声に、私ははっとして、あわてて登山道で挨拶を交わした。そして気が付けば、どうやら私は腰の周りの傘やアイゼンを使わずに下山出来たようだ。気持を入れ替え、改めて又、トツトツ・・トツトツと下山を続ける私の耳に・・遠くで、艶のある甲高い鳥の囀りが聞こえた。千歳山の春も、もうそこまで来ている。