連日、千歳山に登れども・・・ |
ここのところ、千歳山登山が日課となった私は、連休の開けた22日、今日こそは千歳山の色・臭い・音・風・光・・を堪能しようと五感を研ぎ澄まし、何時ものようにトツトツ・トツトツと、同じリズムで又登り始めた。登山道のところどころに残っていた雪もすっかり融け、熊笹など顔を出した緑はどことなくよりいっそう鮮やかに感じる。(・・遠くのどこかでサイレンが鳴っている)。
この日は、雨は落ちてはいないものの、春を直前にして千歳山は暫し足踏みしているようでもあった。私の頭上でキュキュ~キュ・・キュ・・と、鳥の囀りのような音が聞こえているが、これは木と木が擦れあっている音で、私は、以前からこの場所は知っていた。風の強さや風向きによってその鳴きかたが違うので、今日はどんな音を響かせるのかと、時々風を思い出してはこの場所で楽しんでいるのである。そんな木と木が擦れる音に混じって、先ほど聞こえていたサイレンの音が段々と大きくなり、それが幾つか重なって聞こえるようになった。どこで火事なのか・・?と、私はたえず鳴り響くそのサイレンの音を聞きながら、登山道を何度か折り返し又折り返し、そして見通しの良い八合目あたりを通りかかった瞬間、下界の町並みの一点から黒煙が立ち昇っているのが見えるではないか。
(昨日新聞で、この火事により三男である12歳の少年が無くなったと知った。)
思い出してみれば、私に、映像ではなく燃え盛る火事の現場を目の当たりにした記憶があっただろうか?。あれほどの距離から眺めながらも、体の底からジワジワと凍てついてくるような・・怖さ!。この度の「東日本大震災」で、目の前で真っ黒な津波が街を飲み込み、そして燃え広がるその光景を目の当りにする怖さは、いったいどれほどなのか?・・想像を絶する!。結局、その日も又五感を研ぎ澄まし続けることは出来なかった。