「えっ!・・今福島にいるんですか?」・・とは、昨日、私と携帯で会話したある現場監督の驚きの一言である。「地震」に「津波」、それに「福島第一原発事故」に「風評被害」と、四重苦を強いられている福島県。あの現場監督が、「ふくしま」と聞いただけで驚いてしまうように、その風評被害は、魚や野菜だけではない。福島県内の温泉宿泊利用者は、延べ476万7000人と、2位の我が山形県に190万人差をつけ、東北1位だったのだが、ここのところの「風評被害」でキャンセルが相次ぎ、8割減や、場合によっては0になってしまったところもあるという。
普段から、「美術鑑賞」の中毒を患っている私は、この大震災による美術館等の相次ぐ自粛によって、ここのところ禁断症状が現れだした。ならば、「美術品」を求めて、少々遠出をしてみようか・・と。そして、微小ながらどうせお金を使うなら「ふくしま」と思ったわけである。
先日、仕事を終えた午後3時、ネットで予約を入れた宿泊施設「休暇村:裏磐梯」へ向かった。「裏磐梯」の幹線道路は、驚くほど車は少ない。そして、ホテルの駐車場にたどり着けば、ナンバープレートは「いわき」が8割ほど占めていた。聞けば、「福島第一原発事故」により避難を強いられた人たちを受け入れているのだという。一般宿泊客とは別に、国の賠償による長期滞在のメニューのようだ。
(下は、客室の窓の正面に現れた「磐梯山」)
この日の私の宿泊代金は、「歯ブラシ」・「タオル類」・「浴衣・丹前」・「布団敷き」・・・といった、通常のおもてなしを省き、一泊2食付で6.500円。・・とは言っても、温泉の大浴場は勿論、料理の量と味に驚くほどである。その館内には一般客の姿はほんの数人ではあるが、一般宿泊客1人1泊あたり500円を日本赤十字に義援金として収めるのだという。(下:白鳥とかもが戯れる猪苗代湖)
そして次の日・・・「会津若松市」0.20マイクロシーベルト、平常時は0.04-0.05。「喜多方」0.16マイクロシーベルト、平常時は0.04~0.05。どちらも、平常時の4~5倍の数値だが、全く問題は無い。(ちなみに、「福島市」は、1.94マイクロシーベルト、平常時の50倍である。)
そして、
「会津若松」・・・『会津村』
「河沼郡柳津町」・・『斉藤清美術館』
「猪苗代町」・・・『天鏡館』
「喜多方市」・・・『喜多方美術館・館蔵展』
・・・と、何処に言っても観光客の姿は皆無だが、数々の美術品は勿論、「ふくしま」の魅力を堪能・・・である。
(上:『斉藤清美術館』から、三日月型の赤い橋の中に見えた、日本三大虚空藏尊の一つ「福満虚空藏尊圓藏寺」。)
(会津村の「会津慈母大観音像」と、その背後には、人々の篤い信仰の対象であった神の峰・「磐梯山」が美しい。)
「ふくしま」の最後に、喜多方は「坂内食堂」で、透明感と艶のある黄金のスープも美しい“中華そば”に舌鼓!(右)。だが、何時も行列を作るこの店も閑散としていた。
がんばろう!・・・“日本”
がんばろう!・・・“東北”
がんばろう!・・・“福島”
・・そして、美しきかな・・“福島”!