朝、寝床の中で目覚めた瞬間、開けっ放しの窓から網戸ごしに吹き込むヒヤッとするほどの風に、私は思わず・・「うわぁ~・気持いいぃ~・・」と独り言。久しぶりのエアコン要らずの爽やかな風を暫く味わった後、ゆっくりと寝床から起き上がり何時ものようにポストから新聞を取り出した。まずは天気予報をめくってみれば、台風の影響だろうか?、山形は今日終日雨だという。新聞を一度閉じ、おもむろに東側のブラインドを開ければ、その瞬間眩しいほどの日差しが差し込んだ。空を見上げれば、青空さえ見えているではないか!。雨など、落ちる気配すらない。さて・・、こんな時こそ、朝から千歳山に潜り込むチャンスである。
背中のリュックには、冷たい水が入った保温抜群の水筒を入れ、ショートパンツにTシャツという何時もの出で立ちで千歳山に向かった。何時もなら、途中のアスファルトからむっ!とするほどの熱気が立ち込めるのだが、今日はそれを吹き飛ばすほどの心地よい風が流れ、私は「気持ちいいぃ~・・」の連発である。その風は、登山道に入っても変らず、時々突風のように吹き込む風が木々を揺らす。緑はいまだに成長を続けているのだろうか、そんな木々が、登山道を覆い日差しさえ遮る。
それでも、たまに生い茂る木々の葉をすり抜けた日差しが登山道に反射し、よりいっそう眩しく見えた(上)。私の頭上では、たえずジージーという蝉の鳴き声が聞こえているが、何の弾みか、一瞬ピタッといっせいに鳴き声が止まり、代わりに遠くの鳥のさえずりが聞こえてきた。
山頂展望台で、リュックから取り出した、あの冷たい水を汗ばんだ体に流し込み、その美味しさに思わず「うまァ~い!」と、感動する。遠くの下界を眺めながらそんな幸福感をじっくり味わい、又リュックを背負って、「さて、下りるか!」と、振り向いた瞬間、展望台の手摺に反射する日差しがピカッと光り、山頂の緑をよりいっそう眩しく照らす(上)。
(今年初めての対面となるたった一輪の「ヤマユリ」の花が、緑一色となった登山道に色を添える。)
下山を始め、下界に近づくほどに、今朝、ようやく一日の営みの始まる、動き出した人々の騒音が聞こえてきた。