”劇団山形” 公演 『あした天気になぁれ』 |
私とお客様のイメージする空間がいっぱい詰まったその図面を
昨日、お客様の手元にお届けする事が出来ました。
その後他の現場を回り私はその足で、月山新道に不安を感じながらも
急いで鶴岡に向かったのです。
鶴岡市中央公民館で、PM7:00~
“劇団いでは” 「八月のシャハラザード」 の公演があったからです。
最近は、仕事が忙しく芝居や映画を観る時間がなかなか取れませんでした。
次の仕事に取り組む前に気分も新たに・・・(友人にも逢いたくもなって、)
出掛けたのです。
この劇団には、以前ブログで紹介しました“エッグプロジェクト”のメンバーが数人います。
アマチュアの劇団ではあるものの、何時もレベルの高い芝居で楽しませてくれます。
今回は、幕が上がる前!開演のベルと共に座布団と扇子を持って演出自ら現れ
緞帳の前で落語のごとき口上を述べ?・・と思いきや・・・
観客全員を巻き込み、ある”Tシャツ”を掛けたジャンケン大会が始まるという・・
その意表をつく幕明けには驚きました。
しばらくして音楽と共に緞帳が上がりました。
簡略化された舞台装置(構成舞台)ではあるものの、
各場面の・・・例えば仮想のドアであっても充分その空間をイメージさせてくれる
その演技力と演出力!
さらに、音楽と照明を駆使し、とても面白く見ごたえがあり引き付けられた2時間でした。
そして、先月の10月21日(土)には
七日町アズホールにて
“劇団山形”ふたくちつよし 作 「あした天気になぁれ」
の公演があったのです。
私は20数年間この劇団で舞台美術を担当してきました。(以前もブログで)
装置のプランは、その時の演出と打合せを繰り返し、そして
模型で客席の視線などを確認しながらそれを・・カタチ・・にしていきます。
今回も実に難題の多い舞台ではあったのですが、なんとか私の役割も
無事果たすことが出来ました。
そして長期間に渡る舞台裏での感動も含めて、今年の舞台の幕を悔いなく
降ろす事ができました。
今日は観に来られなかった人達のためにも・・その舞台、少しですが紹介します。
下の写真は3階席から観た舞台装置全景
今回は、総合病院の病室 (四人部屋) の設定なのです。
狭いようで広いその舞台上を実際にはとても狭い病室、どうしたら埋められるのか?
客席からの死角をつくらずにそして誇張しながらも、いかに自然に見せられるか?
さらに、演技上最も重要だったベッドを囲むこの白いカーテン。
それは、時には心を隠してくれる薄い幕・・であったり、固く閉ざした心の厚い壁・・・
という意味が表現されるのです。
役者が心の動きと共に激しく開閉する大事なその動きに、充分耐えられる構造!
と・・・軽快さ!がこの舞台装置の絶対条件として要求されたのです。
というよりも先に、まず・・・天井の無いこの舞台にどうやってこのカーテンを吊るのか?・・・・
私の舞台記憶に無い新たな挑戦、難題でした。
それは、写真のように細い角材にカーテンレールを取り付けて
そしてその角材を井桁に組み細いステンレスワイヤー2本だけで上空のバトンから
吊ったのです。
カーテンは揺れも無く思いのほかしっかり固定され、動きも予想通りスムーズに・・
全て解決する事が出来ました。
当日、そのカーテンは見事にその役目を果たしてくれました。
そして、そこで繰り広げられたそれぞれの人間模様・・・。
笑いあり、涙ありの・・観客の心にきっと残る、そんないい舞台になったと劇団員共々
自負しています。(自己満足・・・?)
そして今日は最後に、その舞台裏もちょっと~~・・・・。
このパネルの裏に書かれた数字や文字が、私たちの劇団の歴史を感じさせます。
(実は、舞台裏のこの光景が私は何故かたまらなく好きなのです。)
舞台の袖には役者の衣装や靴、バックなど素早く着替えられるように準備されています。
そして役者達は
この椅子に座って黙祷のように自分を集中させる人・・・!
ゆっくり歩きながら小さな声で繰り返しセリフをつぶやいている人・・・!
落ち着きが無く、今にも泣き出しそうな初舞台の人・・・!
あげくの果ては・・この装置のベニヤに台本の1部を破り、のりで貼り付ける人・・・!
(どうしても憶えられない部分なのでしょうか?)
そこにセリフをマジックで書き込む役者までいます。
いつもの事なのですが、人それぞれの気持ちの作り方を伺えるこの光景・・・・も
私は、何故かとても好きです。
今年の公演も終わりました。
来年はどんな脚本で
そしてどんな舞台装置に取り組むことになるのか・・・・。
継続は力なり・・・でしょうか!
私の舞台装置がこの劇団に受け入れられる限り
そして、何時か私に変わる若い力が現れるまで・・・この素敵な仲間と共にこれからも
続けて行ければと・・・・今もそう思っています。
さて、仕事では真冬の工事となった店舗併用住宅!
雪のとてつもなく多い尾花沢で、来春までの約半年間・・・
先日着工した山辺の福祉施設と共に設計監理が続きます。