④ ~“草野心平記念館” ~ |
波はよせ。
波はかへし。
波は古びた石垣をなめ。
陽の照らないこの入り江に。
波はよせ。
波はかへし。
下駄や藁屑や。
油のすぢ。
波は古びた石垣をなめ。
波はよせ。
波はかへし。
波はここから内海につづき。
外洋につづき。
はるかの遠い外洋から。
波はよせ。
波はかへし。
波は涯しらぬ外洋にもどり。
雪や。
霙や。
晴天や。
億万の年をつかれもなく。
波はよせ。
波はかへし。
波は古びた石垣をなめ。
愛や憎悪や悪徳の。
その鬱積の暗い入り江に。
波はよせ。
波はかへし。
波は古びた石垣をなめ。
みつめる潮の干満や。
みつめる世界のきのふやけふ。
ああ。
波はよせ。
波はかへし。
波は古びた石垣をなめ。
「窓」 詩人 : 草野心平
かつて“谷川俊太郎”や“中原中也”の詩に夢中になった時がありました。
恥ずかしながらほとんど知らなかったこの“草野心平”・・そしてその詩。
館内に展示してあるいくつかの彼の詩を引き付けられて読み続けていたら
ひょっとすると・・又夢中になってしまうかも知れないと・・・。
この・・「窓」・・・私は、とてもいい詞だと思いました。
そして館内の展示方法がとても魅力的なのです。
“草野心平”(1903~1988 没85歳)の生きざまそのものが伝わるように展示されていて
“宮沢賢治”に強く影響受けたという彼の人間性までが伝わってくるようです。
当時店主として営業していた時の飲み屋“火の車”が
作りもそっくりに再現されていました。
決して裕福ではなかった“心平”は、10人に膨れ上がった家族を養うために
この店を作ったのだと。
この全部で六畳にも満たない自分の店で、
詩人の友人達と日々熱く議論を交わしたのだそうです。
時にはこの店で、勢い余って激しい喧嘩もあった・・とか。
それにしてもこの店の名前が“火の車”とは!
“心平”も詩人だけあってネーミングのセンスもあったようです。
写真はその“火の車”のカウンター。
かえってこの狭さが作り出す独特の雰囲気があり、「そろばん」や「おちょこ」など
当時カウンターの中にいた“心平”と客とのやり取りがリアルに目に浮かぶようです。
(椅子の数を数えると12~13人は一緒に飲めそうなのです。その意味でも究極のお店!)
下の写真はそこでの実際の“心平”彼の姿。
(書籍 思潮社:現代詩読本「草野心平」 より )
たぶん自分も飲みながら接客していたのでしょう。
しづかにすすむ一列の。
ながい無言の一列の。
蛙の列がすすんでゆく。
ひたいに青い蛍をともし。
万の蛙等すすんでゆく。
日本砂漠の砂をふみ。
砂漠のくらい闇をふみ。
しづかにしづかにすすんでゆく。
るるるはしろい。
ほのほになって。
るるるはゐない。
うつくしいるるるはもうゐない。
ひかるはなびら。
るるるにそそげ。
ひかるはなびら。
るるるにそそげ。
ひとすぢのさざなみたててみおくりの。
歌がしづかに流れだす。
日本砂漠の闇のなか。
いつとはなしにその歌も。
はるかかなたにとほのいて。
蛍のあはい。
ひと絶え絶えにきえてゆく。
かたむく天に。
鉤の月。
「るるる葬送」 詩人 : 草野心平
“草野心平” の魅力に感動し、その余韻を残しながら
あの“あぶくま洞”へ急がなければなりません。
実は、この日の夜7時に、山形の七日町にある 「ふきのとう」 というお店で
友人の持ち込む熊肉による「熊鍋」が待っているのです。(彼はマタギなのです)
仲間6人による、鴨や鹿や雉の鍋パーティーが毎年新年会の恒例になっているのです。
(この6人の仲間と「ふきのとう」のママさん!・・ちょっと面白い人達です。 いずれブログに。)
そんなわけで・・急いでいたのです。
(余談でした。)
今日の最後に
柳沢厚生労働相の「女性は子どもを生む機械」発言が
思わぬ方向に発展しているようです。
野党は、5日からの参院予算委員会の補正予算審議を又ボイコット!
国家予算という大事な審議が、あの個人的な失言でどうして止められてしまうのか。
それでは、全女性だけでなく、全国民に失礼と迷惑になってしまうではないか。
この発言許せませんが、それはそれとして、どうして別個の問題として扱えないのか。
予算審議は、審議としてどうして進める事が出来ないのか?
なぜ、愛知県知事選や北九州市長選の結果を見なければならないのか。
全く別の問題ではないのか。
失言の言葉以上に膨れ上がってしまったこの状況!
それなのに、どうして彼は辞任しないのか・・・?
野党など、それぞれの思惑より、国のためにまず大事な事を優先してほしい・・と、
私にはわからない政治の裏に、イライラがつのります。