“ダイヤモンドシティー・エアリ” OPEN |
先月、宮城県名取市に完成した。
山形から高速道路に乗り仙台空港近くの名取インターで降り
このショッピングセンターまで約一時間で着いてしまう距離にある。
山形も商圏として、当然見据えたこのショッピングセンター。
仕事柄、というより一消費者として以前よりとても興味があり、早速訪れてみた。
この巨大ショッピングセンターの周辺は、住宅団地なのだろうか
田園だった広大な土地に、とてつもない開発造成が進んでいた。
そして、左に「ジャスコ」右に「三越」を従えて、その間をテナントがつなぐ三階建ての
巨大な建築が現れその大きさに・・唖然とする。
そのテナントの数は170店、ちょっとした繁華街を丸ごと持ってきたかのようなその規模。
そして中央の吹き抜けにより、どこにいても全体が見渡せ
自分の位置を確認出来るこの構造。
あの、安藤忠雄設計の表参道ヒルスを連想させます。
(以前、その写真もブログで紹介)
この日は、3月28日(水)という平日ではあるが、学生などの春休みも影響してか
店内は老若男女を問わず大勢の人で溢れていた。
週末はどういう状況になってしまうのか、想像を絶します。
そして、少し遅い時間の昼食であれば・・と思ったのは甘かったようです。
17店の和洋食店がひしめき合う1階の 「GOURMET GARDEN」 通りは、各店全て長蛇の列。
しかたないので780席あるという2階の 「HARVEST COURT」 に行ってみると
こちらも空席がまばらなほどの混雑。でもなんとか待たずに昼食を済ます事が出来ました。
和洋食からファーストフードまでそろった店の数は勿論、セルフの冷水やちょっとしたイスのリクライニングが
うれしい。
「三越」1階食品売り場には、テナントとしてあの人気の
「MOCHI CREAM」 が出店していた。
一度食べてみたかったその“もち”
15分並んでようやく獲得。
早速食べてみました。“ブルーベリー”から“じんだん”まで、柔らかな“もち”で包んだなんとも上品なその食感。「和」と「洋」の境界を取り払って、スイーツの世界をまた新たに広げてくれた・・そんな一品。
「ジャスコ」入り口付近にあのテレビ番組「マネーの虎」で、絶賛を浴び
見事融資を獲得、今では全国8店舗まで成長した「ROMANDOO ROLL」の
お客の数が一際目立っていた。
ちなみに、一軒はさんだ奥が「ミスタードーナツ」
ここでは、完全に勝ち取っているようだ。
またまた、その一品。
又、20分ほど並んでようやく獲得。
もちもちした食感のクレープに包まれたクリームと果物。
「出来立てのケーキ」・・というキャッチにふさわしくとても美味しかった。
今評判の調理教室 「ABCクッキングスタジオ」。
このように、制服を統一し、教室を透明ガラスであえてOPENにして、
“学ぶ”ことと同時にそのファッションすら楽しもうという新しいスタイル。
メーンの出入り口には、ソフトクリームのあの 「KIHACHI」 が店を構えていた。
全国の選りすぐりの名店を配置したこの “ダイヤモンドシティー・エアリ”ではあるが
気になるのは、開店してまだ間もないからか、買い物に来ているというより
私のように、興味本位でただ“見に来ている”という感じのこの大衆。
衣料品などの売り場である三越の2~3階、ジャスコの2~3階は不自然なほどに閑散としていた。
各々の“もくろみ”が今後どう展開され変化し進化していくのか、興味を持って
今後も見定めて行きたいと思っています。
工業地域そして商業地域や住居地域といった、都市計画によって区分けされ
それらを結ぶ交通網など、既存の計画を全て壊してしまうかもしれないほどのこの
巨大ショッピングセンター。
この裏側には、負け組みとなった地域の生業でささえてきた商店がシャッターを閉め、
その町のコミュニティもが消失してしまうという
この華々しい巨大店舗の裏には、そんな現象がある。
山形も例外ではない。
開発したイオングループの一つである㈱ダイヤモンドシティ社の
利益追求を影に
企業理念として「地域社会の発展とお客さまの生活文化の向上に貢献する企業として・・・」
と、世界規模でグローバルなビジョンも打ち出しているこのデベロッパー。
でも、かつて商売の神様といわれたあの「㈱ヤオハンジャパンの和田一夫会長」ですら
失敗~倒産!そしてジャスコの主導により再建を余儀なくされたことが証明して見せた・・その
”永遠”とか”完全”とか”不変”ということは・・・絶対に無いのだと。
(以前、仙台で彼のセミナーがあり、参加した事を思い出します。
自慢げに語っていた八佰半上海巨大デパート、その周辺地域が現在
どういう状況なのか・・・とても気になるところですが。)
つまり、この創られた“まち”が永遠に続くとは限らない。
いつもなら確かに買えない「名店」の出店など、魅力的な商業空間は消費者に
嬉しい面もあるが
もし立ち行かなくなった時の“まち”の再生には、気の遠くなる犠牲と時間が
必要なことを思えば、
この巨大SC(ショッピングセンター)方式が人の生活にとって、必要であり
幸せに繋がるのかどうか・・・・とても疑問だ。
㈱ダイヤモンドシティ社の全国に17の大型SCを開発して来たその実績はともかくとして
弱肉強食の時代に勝ち残っているだけで、また「ヤオハン」のように一気に飲み込まれた時に
この町への責任は・・取れるはずが無い!
”SC”の”負”の部分が明確になり、ようやく歯止めとなるのだろうか
遅かった「大店法」の見直し。
都市の構造を、たった一社のデベロッパーの永遠の存在にゆだねる”SC”のこの方法。
無尽蔵に開発される土地が、二度と田園には戻らない事も思えば
失敗は絶対・・・・許されない!