渓流 “大鳥川” に魅了 |
渓流釣り名手の、あの友人と一緒に久しぶりの釣りに出掛けたのだ。
西川インターを降り、残雪の山々が美しい月山新道を通って鶴岡の少し手前から
朝日村へ左折、大鳥川の上流を目指した。
私は、この川がとても好きでどれだけ訪れたことだろうか、そんな見慣れた景色を眺めながら
車中では彼と久しぶりに釣りの事や、健康の事や(歳のせいか?)、
そして何故だか?・・恋愛の事まで様々な話題に話しが弾んだ。
天気は日差しがきつく感じるほどの晴天。
そして大鳥川の東西分枝点にさしかかり、今年は、雪が少なかったとは言え
新潟に抜けるという西大鳥川に沿って走る 「朝日スーパーライン」 は閉鎖されている。
私たちは、東大鳥川の更に上流を目指した。
細くて真っ暗な、古いトンネルを二つくぐり抜け
途中、除雪中のため 「立ち入り禁止」 のたて看板に暫し躊躇しながらも
車一台ようやく通れる山道を、どこかにいるだろう除雪車を気にしながら
更に上流へ向かった。
左側のこの雪、道をふさぐ部分だけ除雪されている。
そしてこの奥に行けば行くほど道におおいかぶさる雪が多くなっていく。
登山客は、この山道を更に登り続け、その先にある「タキタロウ」で有名な
大鳥池を目指すのだ。
「このあたりが限界かなぁ~」 と、車を寄せられるスペースをなんとか見つけた。
そしてこの写真の、手前の川と中州の木立を挟んで奥の川と
その雄大な渓流は・・・感動するほど美しい!。
ところどころに残る真っ白な雪と、その合間に咲く黄色い“ふきのとう”の花も
とても綺麗だ。
山形から高速を通って・・約2時間弱。
私達はここを釣り場と決めた。
爽やかで色の濃い新緑や、程よい気温とその澄み渡った空気に包まれながら
自分の体に、釣りに必要な道具や食料、石の上でも滑らない靴や
水の冷たさから身を守るために必要な装備を、一つ一つじっくりと身に付けていく。
川の水は透明で濁りは全く無く、私たちは無言でゆっくりとその渓流に挑んだ。
お互い邪魔にならない距離をとり、自分のそこだと決めたポイントに竿を下ろした。
夢中になりながらも相手が見通せる距離感を保ちながら、ゆっくり上流に進んで行った。
私は、上流の正面に見えた“絶景”に見とれ、水の強い流れに膝までつかりながら、
しばし釣竿を小脇に抱え、水に落とすまいと何とかリュックからデジカメを取り出し
シャッターを切ったこの一枚。
この写真では伝えられない空気の爽やかな香りや、風の音や水の音、
そして・・・・この絶景!・・・・これだけでもここまで来た価値があった。
途中、この中州に二人腰を下ろし、この景色を眺めながら持って来た食料を頬張った。
全身で感じる “至福のとき”
そしてゆっくりあたりを見渡すと、今座っているこのあたりはすぐ下流にある砂防ダムが
長年の間に土砂で埋まって出来たところでもあるのだと気が付く。
機能を果たさなくなったからといって、壊すことすら出来ない
この死んでしまった山奥の、コンクリートの砂防ダム。
やはり人間なぞは、とてつもない自然のその力には到底およびもしないのだから
自然と共存している事を思い、その恵みに感謝しながら
人の営みはいろいろな意味で、自然の前で謙虚にあるべきなのだと
この山脈のふところに抱かれながら痛感した。
この日、まずまずの形のいい岩魚が数匹上がった。
流石・・渓流釣りの名手、友人の彼は30センチを超える岩魚と格闘の末
見事!・・・釣り上げた。