“劇団山形” 装置製作開始 |
演技の稽古や舞台装置の製作に入った。
作:砂本 量 《レンタルファミリー》
舞台美術担当の私は、先日から演出との打合せを重ね
間取りや扉の位置・小道具の場所や種類も決まり、
ようやくその舞台装置のイメージスケッチが完成した。
舞台設定は、ちゃぶ台と座卓が置かれたある住宅の客室(和室)。
そして正面の壁には柱時計が掛けてある。
芝居の中で、この時計が後に重要な意味を持つわけなのだが・・・・。
ここから先は、当日会場でどうぞご観賞下さい。
山形市内にも沢山のアマチュア劇団のある中で
自前の稽古場を持ち、装置製作に必要なこの十分な敷地を持つ劇団は
確か私達だけであったと思う。
それは、当劇団員のこの土地の所有者であるただ一人の好意に甘えているからなのだが。
他の劇団は、たぶん空いた公民館を探したりセット製作に空き地を借りたりと
結構大変な苦労を強いられているはずなのだ。
私達は大変恵まれている事に感謝しなければならない。
そして、私達団員は毎週日曜日にこの稽古場に集合、その装置製作に汗を流しているのだ。
私達の「劇団山形」は、2年前に40周年を迎えるという歴史が積み上げた財産が沢山ある。
そのひとつに、私達の大工としての腕も上がり、塗装の技術も年々うまくなっている。
あるうら若き女性なども、材木に左足を掛け、ノコギリを力強く引く腰付きも逞しく板についてきた。
下手な大工も顔負けである。
(そんなパネルがこの倉庫に、ビッシリ保存されている。)
最近は、「電動ノコギリ」や「電動ドライバー」や曲線を切り抜く「ジグソー」といった
プロ並みの大工道具も充実してきた。
「カレーライス」や「冷や麦」や「うどん」といった、昼は団員の手作りの料理が昼食となる。
私達の、そんな季節がやってきたことを、知ってか知らずか、毎年どこからともなく
数匹の「野良猫」がやってきて、そんな猫の昼食も引き受け
このひと時を私達と一緒に過ごすのだが・・・
どうしたことか、今年はまだ現れていない。
先日の昼食時には、芝居に限らずそんな話題にも会話が弾んだ。
装置は、舞台から客席までの距離が微妙にその装置の見え方を変える。
キャストが、眉や頬紅など誇張したメイクのほうがその表情がわかりやすいように
装置においてもその原理は同じなのだ。
例えば本物のフスマ戸を持ち込む事よりも、あえて色濃く襖絵を描くことでより襖らしく見えることや
又、そのサイズも箇所によっては多少誇張させるほうが実際のスケール感が伝わる。
つまり、本物よりも作った“もの”の方がより本物にみえるのだ。
年に一度のこの時期だけだとはいっても
私には、今年のように2年に1度の「山形国際ドキュメンタリー映画際」が重なったりと
どれも好きでやっているとは言え、時間を作りそして責任を全うするのは容易な事ではない。
でも私は、勿論仕事を中心に、劇団と映画祭と、何とかそれぞれ両立させる事によって
集中力が増し、そして個々に考え感動したことや体験したことが
必ずや又、建築設計という仕事にも良い影響を与えるはずだ・・・・と信じている。
さて私達は、今年11月の公演でどれだけの人に感動を与えられるだろうか。
当日、時間を割いて遠くからも観に来てくださるお客様のために
私達は日々稽古に明け暮れ、いろんな夢を描きながら・・・そしてその当日を目差す。