“ナラ枯れ” と “養殖イワナ” |
仕事で酒田へ向かう途中の国道47号線沿いの風景が、特に最上川の対岸が
一見紅葉かと思わせるほど山が赤く染まっている部分があるのだ。
毒々しく、まるで鉄の赤錆のような色をしている。
この「白糸の滝」でも上の方に少し赤くなっている木があるがそれがあのキクイムシによる“ナラ枯れ”だったのだ。
(昨日、あいにくの雨だったので、スッキリしない画像だが。)
そもそもこの“ナラ枯れ”は、九州などの気温の高い地域の問題だと思っていたのだが
何故か、どんどん北上しているようだ。
最近ほぼ週一回この47号線を通るのだが、こころなしか益々ひどくなっている気がする。
早速その原因をネットで調べてみると
外来種の体長5mm程度の小さな「カシノナガキクイムシ」とその菌が「ミズナラ」や「コナラ」に
寄生していることがこの“ナラ枯れ”の原因だった。
それに1980年代の後半から急激に増えたのは、どうも「地球の温暖化」が影響しているようだ。
カシノナガキクイムシの知識(ネットから)
①被害の推移~被害を受けやすい樹種は、コナラ・アベマキ・シラカシの順で、被害を受けた樹は、7月下旬から始まり8月中旬に枯れが目立ち9月上旬までにほぼ枯れてしまいます。
②被害の原因~ナラ類の枯死は体長5mmのカシノナガキクイムシ(以下「カシナガ」と言う)という甲虫の仲間により樹幹内下部辺材に多量に持ち込まれたナラ菌で、通水阻害を起こし枯死すると言われています。
③ナラ枯れの特徴~被害木は樹幹下部に集中してカシナガの穿入痕があり、根本に木屑が散乱しているのが特徴で、先端部から枯れ始めます。
④カシナガの生態とナラ枯損のメカニズム~カシナガ新成虫は、枯死した木から6月下旬に羽化脱出し、オスが新たな対象となる生立木に穿入し、集合フェロモンを出して大量のカシナガを集めます。カシナガが孔道を掘るとき体表面に大量のナラ菌を付けており、これが繁殖して通水阻害が起こり先端から枯れ始めます
「カシノナガキクイムシ」 は、本来東南アジアなどが原産地なのだから
そういうところから輸入した木材に付いてきたものが、たまたま住みついたということなのか。
このまま“ナラ枯れ”がどんどん広がれば生態系が脅かされ、そして何時か
私達人間の生活が脅かされてしまう。
温暖化で気温が上がったことによって起きた現象は、この“ナラ枯れ”だけではなく、岩魚などの魚たちも、渓流の水温が上がり冷たい上流へ上流へと追いやられている。
植物なら種を散布し、昆虫には羽根がありこの”ナラ枯れ”のように
飛んで移動しこの種を守ることが出来るが
渓流は最後には行き止まり、そして冷水域に住んでいる魚は逃げ場を失う。
もっとも環境の影響を受けやすい魚は、この温暖化によって絶滅してしまうのだろうか。
岩魚はもともと生まれたその川でしか生きられず
他の川に放されると死んでしまうというその習性があった。
30数年前、ニッコウイワナという種にてはじめて養殖に成功し
それによって全国の河川にこの養殖岩魚が放流され、そしてその習性が崩れてしまった。
渓流釣りの好きな私が、水の透明感あふれるあの美しい渓流で釣り上げた岩魚でも
多くはこの養殖魚ということなのだ。
かつてのメソポタミア、エジプト、インダス、といった古代文明も
全て水を満々とたたえた大河の流域で栄え
そしてそこは様々な生態系を支えた膨大な森林地帯もあった。
燃料や農耕地のためにその森林がどんどん伐採され、それによりいろんなところに破綻が起き
そして「そのことによって滅んだ・・!」という説があったことを思い出す。
温暖化による“ナラ枯れ”や、この養殖岩魚や最近の気候の乱れ・・・だけでなく
南極の氷もわずかだが年々溶けてなくなっているという。
私の身近に感じるこのいろいろな現象が、全て人間が自分達に都合のいいように
開発してきた結果なのであることを思うとき
あの文明と同じように、私たちは滅び行く道をたどってはいないのだろうか。