“天然舞茸” 大井沢 |
今では “マタギ” の世界にいる大井沢が実家のその友人の案内のもと
仲間3人で 「きのこ」 という山の恵みをいただきに、朝8時過ぎに入山を開始した。
「きのこ」 とは言っても、気候やその時期のタイミングなど地元の人が山を駆け巡っても
なかなか出会えないという天然の 「舞茸」 だけを目標にし
そしてひたすら彼の後を追うことになった。
それは、早速急斜面から始まったのだがいつもの事 “藪” に足を取られ抜けなくなったり
朝露に濡れた地面に足を滑らし、なんとも無様な格好でずり落ちたりと
「仲間に見られたかな・・?」などと余計な心配をしながら・・・一人笑うしかなかった。
そんな状態だから、10分も経たないうちに少々息が上がってしまって
自分の体力の無さを痛感する。
はぁ~はぁ~と息を切らしながら一時間くらい登っただろうか・・
山の景色が一変しているのに気が付く。
こんな巨大な 「ナラ」 の木も現れ始めた。
そして、ふと気が付くと彼の姿が見えなくなっていたこともあって
「おぉ~い・・“舞茸”・・・そろそろですかぁ~・・・!」 と大声で聞いてみたら・・
「まぁ~だ、まだ・・・・!」 と遠くから大声で帰ってきた。
えぇ~!・・まだまだって・・あとどのくらいなのかなぁ~・・!と、はぁ~はぁ~言いながら独り言。
それにしてもこの清々しい景色、あらゆる樹木の葉が朝露に濡れているせいなのか
この空気の透明度が一段と増した感じがした。
“マタギ” の彼は、以前何度か “舞茸” と出くわしたその巨大な 「ナラ」 の木の場所を
今も何本か記憶しているようで、その一本一本をたどって行くということらしい。
しかし、次々とことごとく期待がはずれ、その度にため息と・・そして体力の消耗を
いっそう感じて、今日は空振りとなってしまうのか不安になった。
「ここも駄目かぁ~・・さて、次に行こう!」 彼との体力の差に・・しばし唖然!
私達二人のスピードが当然のごとく落ちはじめながらも、ひたすら又彼の後を追う事になった。
しばらく登り続けると 「おぉ~い・・ここだ・・ここ・・!」 と、遠くから彼の声がした。
やっと “舞茸” を見つけた・・ということなのだろうか
急に足が軽く感じ、その声の方向に向かった。
ようやく、遠くの巨大な 「ナラ」 の木に登って休んでいる彼の姿を発見。(写真)
なるほど、あの巨木ならば “舞茸” もありそうなそんな雰囲気だ。
それにしても彼のこの姿、まるでジャングルでたくましく生きる“ターザン”!
私達もようやくその巨木にたどり着き、彼の示す箇所を覗いてみると
根元の窪みにびっしりと “舞茸” の姿、そればかりではなく、ほかにも大小7箇所に
“舞茸” の姿を見た。
初めて見たこの光景に私達二人は 「すっごォ~・・い!」 と、ともかく興奮そして感動!
その姿に暫し釘付けになった。
わかりづらいが、左写真中央に見える黒っぽいものがその天然の “舞茸”
他にも、右の写真くらいのサイズのものが数箇発見!
一箇所でこんなにたくさん見つかるのはとても珍しいらしい。
デジカメに収めた後、丁寧に採り始めたのだが意外にその白い根の部分が固い。
その香りに囲まれ、沢山の “舞茸” に恵まれたことに感謝しながらいつの間にか
膝の疲れや体力の消耗も忘れ・・そしてゆっくりと収穫。
背中のリュツクの重みに微笑みながらのその下りの足取りは、意外と軽かった。
その後、一人が「栗ご飯が食べたい・・!」 と言い出し、場所を移動させ少々栗拾い。
でも、これだけ採れた(左の写真。)
右の写真は、今日収穫した”舞茸”の一部を手に持っているところ。
これだけでも十分でかい!
山形に帰って早速その “舞茸” で舌鼓。
天ぷらにしたそのシャキシャキした食感と天然ならではのその独特の香りは・・
それはそれ言うまでもない。
最後に、彼が地元の食べ方だと言う “舞茸丼” を作ってくれた。
“舞茸”をバターで炒め醤油で少し味付けしたその “舞茸” を、なんとも贅沢にも
白いご飯の上にたっぷりと乗せて、まさしく “どんぶり” としていただいたのだが
始めて食べるその味は説明しがたく、「とにかく美味い!」 と言うしかない。
(このとき、少々酔ってしまって、デジカメに収めることを忘れてしまった。)
今度何時、この “舞茸丼” が食べられるのだろうか?・・と思いながらしっかり味わった。
美味しい酒とも相まって、
今日一日、あの映画祭とは又違った疲れだが
でもとても清々しく贅沢で幸せな一日となった。