たかが駐車場?・・されど駐車場! |
以前、住宅のリフォームで、そのデザイン設計の依頼を受けたりと
なにかとお付き合いさせていただいている某・お蕎麦屋さんを営むお客様から
先週、そのお店に付随する駐車場の配置割りの相談を受けていた。
現在の白線が薄れてしまい車一台の幅も狭く、お客様が、もっと効率がよく・・安全で止めやすい配置割をと・・・以前から考えるも、なかなかうまく行かず困っていた様子。
勿論私は、いろんな建築のデザイン設計が仕事な訳だから、その建築を計画する際は
当然駐車場の配置はその設計の基本となり、そこから建物の配置が決まる場合もあり
プロとして当然・・喜んで引き受けていた。
ようやく期限に追われていた仕事を無事終えた昨日、お店の込み合う昼時間を避け
お借りしていた配置図を入力したそのノートパソコンを持ち、早速そのお店に伺った。
PM3:00というのに、流石有名店の蕎麦屋さんだけあってお客様は切れない。
私は、出来るだけ邪魔にならないテーブルをお借りし、早速そのノートパソコンを立ち上げた
勿論その“そば”は絶品だ。 写真はネットから。)
私はまず、図面が正確なのか・・・現場の測量からはじめた。
どうしたわけか、かなり図面と相違があり、改めて基本となる駐車場の面積を入力修正。
さてと・・・・、もっと効率がよく・・安全で止めやすい配置割のプランに取り組んだ。
店舗などの出店計画において、立地や面積もさることながら、その敷地の形によっては
つまり、駐車場へのアクセスや、どんなふうに何台取れるのかの基本的なシュミレーションが
出店の決め手となるほどに、特に郊外の店舗にとってはそれが重要なポイントとなる。
早速私は、いくつかの提案をさせていただいた。
一つは、狭かった一台分の幅をスーパーマーケット並みの幅を確保する。(最低2m50cm)
スーパーは、当然女性や高齢者も視野に入れ、駐車場のモジュールが決められているので
そのサイズを基本に置けば間違いが無い。
ただ私は、出来れば、あと10~20cm広げたいところだか、そのことによって数台
潰してしまうこともあり、特に貸し駐車場などは、その台数によって収入が決まるので
その割付は簡単なようだが、台数か?・・・・幅か?・・・・といった判断をせまられる。
二つ目は、身障者のお客様も時々はお出でになるということを受け、玄関の近くに身障者用専用駐車場のスペースを確保しようという提案。
近年、県や市の条例によって、公共施設は勿論、不特定多数の人が行き交う店舗などにおいて、面積によっては、その台数まで義務付けしていく方向にあり、是非一台は確保したいところだ。
三つ目は、白線は一本では無く、2本ダブルで入れる。
当然その白線の長さが二倍になるわけだから、費用も倍となる。これは不思議なことなのだが、2本線の方が一台分の幅が心理的に広く見え、しかも内側の線の中に入れようとする心理が働き、車間スペースが確保出来て、更に自然に整然となる。
そのほかにも、車止めをどうするか・・?、つまり雪国ではその広大な駐車場を
機械によって除雪する時は、車止めが取り付けできない場合がある。
新築の場合は、消雪設備も検討されるが、その維持費も安くは無く、駐車場の除雪は悩みの種だ。やはり今回は、取り付けないことにし、そしてお客様に先の提案の全てを了承していただき・・・
私は、又もパソコンに向かった。
新築の場合は、更に、雨水はどうするのか?・・・
道路の側溝に流すのであれば、舗装面に適度な勾配を付けスムーズに流れるように
しなければならない。
面積が広くなればなるほどその高低差が大きくなり、建物の高さの基準が変わる。
近年、浸透式の舗装も普及し、雨水の勾配を必要としない利点があるが
消雪設備と併用は出来ない・・・という側面もある。
雨水は地下水の問題と絡み、道路の側溝に流すのではなく、その都市計画によっては
雨水を地下に戻さなければならない・・・といった地域も設定された。
さて、私はこのお店の駐車場は、いったいどう配置すればいいのか?・・・車を縦に止めるか?・・横に止めるか?・・・全面道路からの進入経路・アクセスはどうするか?・・・その幅をどれだけ取れるのか・・・お客様と、ノートパソコンの画面を見ながら・・・ようやくお互い「これしか無い!」という結論が見えた。
結果、これまでよりも幅を広くしたにもかかわらず、二台分多く取れるという結果を生み出した。
パソコンの威力も手伝って、お客様共々・・満足。
たかが駐車場?・・・・されど駐車場!
昨日は、建築とは別に、現場に張り付きながら仕事の結果に納得できた一日だった。
後日、この図面に基づき白いチョークによって引かれた仮の線を確認し
そして専用機械によって、その白線が引かれる。