再び ”千歳山” 山頂へ |
ようやく納得のいくコンセプトを導き出し、それを設計図面にすることが出来た。
街中で見かけるこれまでの「ショールーム」のほとんどは、すべてガラス張りにするために
必ず鉄骨造にするのが常識だった。
その鉄骨が、中国の影響もあり価格が日々高騰し、納期すら何ヶ月掛かるのか
予測が付かないこの現状を受けて、私はその構造をあえて木造にすることを模索していた。
木造の特殊な工法を使い、しかもこれまでのように総ガラス張りを実現させることが出来た。
そして、大幅なコストダウンを計り、なおかつ・・・高級感はあるが、どこか硬さのあった
「ショールーム」のイメージを、その木肌をあえて表面に現すことによって、その柔らかさや
親しみやすさといった庶民的な「ショールーム」のイメージが完成し、そしてそれをようやく
図面に表現することが出来た。
昨日朝一番、山形市役所を訪れ、その建築の許可を得るべく「確認申請」を提出した。
昨日は、私にとっては、仕事の一つの節目を迎えた。
ようやく駐車することが出来た。以前の私なら、降りる時でもエレベーターを待つのだが
最近何故か・・“のぼる”・・ことの好きになった私は、降りる時は当然だが、帰りの時も
この階段を前に、ウキウキするような気持ちで、一段一段・・7階までのぼりつめた。
最近、“からだ”作りに余念のない私は、近くの「千歳山」登山や、マンションの非常階段など
日々“のぼる”ことを繰り返して来たら、いつの間にかその爽快感のようなものに到達・・
階段を前にすると、登りたくなる・・そんな習性が身につき始めた・・・・のかもしれない。
その一昨日のこと、朝から小雨が降っていたのが、徐々に雨があがり青空が見え始めた。
私は待っていたかのごとく、リュツクに雨具とミネラルウォーターを入れ、又も「千歳山」の山頂を目指そうと外に飛び出した。
登山口の鳥居をくぐり、途中の稲荷神社を過ぎたころ、雨に濡れた木の葉を、一瞬強い日差しが差し込んだ。
その木漏れ日が作り出したコントラストの強いこの風景を前に、どこか懐かしい美しさを久しぶりに体感したような気持ちになった私は、その場に立ち止まり、暫しその風景を眺めては、何故だか遠い昔を思い出すような気持ちで眺めていた。
朝から雨となったこの日は、さすがに登る人も少なく、それでも山頂から降りて来るこんな熟年の夫婦なのだろう二人とすれ違い、「こんにちは!。」と挨拶をかわした。
一心に足元だけを見て振り向きもせずにひたすら降り続ける彼に、2~3メートル離れた後ろから、一生懸命に付いて行こうと後を追う・・・そんな二人のうしろ姿を見ていたら、何故かとても温かな気持ちになった。
ほどよく汗ばんできたころ山頂に到着すると、今度は、姿は見えないが二人の女性の話し声が聞こえてきた。
どうやら、この展望台の2階にあるベンチに座り、会話しているようだ。
私もその展望台に登ろうと階段をあがって行ったら、会話に夢中で私の足音が聞こえなかったのだろうか、突然現れた私に二人とも一瞬びっくりしながら、・・・「こんにちは!。
私は、二人のその時の表情に何故かおかしさがこみ上げ、笑いをこらえるのに必死だった。
何時ものこと、この日も山頂から見える絶景を暫く楽しんだ。
帰りは、途中から「万松寺」に向かうコースで下山した。
自宅に帰って仕事に向かうと、うってかわつて今度は強い雨が降り出してきた。
私は、先ほど体験したあの木漏れ日が作り出したコントラストの強いなつかしい風景を思い出しながら
「あの時は、私のために晴れてくれたのだろうか?」・・・などと、その偶然に感謝しながら
部屋の窓から見える「千歳山」を一瞬見あげ・・・・私は又仕事に着いた。
・・・・・・いよいよ明日は大井沢!