千歳山山頂 ~ “万松寺コース” |
春の恵みに出会いたいと、毎年恒例となった「大井沢」登山に向けて少しでも“しなやかな体力”を
養おうとはじめた「千歳山」登山だが、ちょうど4回目の登頂を果し、いよいよとなった季節に
メンバーの都合が何とも折り合わず、なんということだろうか・・・今年は実質中止となってしまった。
何のためにはじめたのか・・・という、そんな動機はさておいて、私はその山頂を極める爽快感を
味わってから、“のぼる”ことの好きになった私は、今も時々マンションを飛び出てはその山頂を
目指している。
最近、雨の日が続いていたので、私は「千歳山」ではなく、マンションの階段室を借り
少しでも体力が落ちないようにと、7階までを何度も昇り降りを繰り返すのだが、単調で同じ階段を
ひたすら繰り返すのはやはり味気ないものだ。
今日は久しぶりに早朝から太陽の日差しがまぶしく、「今日こそ“千歳山”日和だ・・!」と決め
仕事の合間の夕方4時半、私は又リュックにスニーカーと何時もの姿でマンションを飛び出した。
登りは何時もの赤い鳥居の中級者コースで登り始めたのだが、暫くして夫婦なのだろうネクタイ姿に
女性はスカート姿といった・・・・決して登山姿とは思えない中年の珍しい二人に出会った。
多分途中にある稲荷神社を目指し引き返してきたに違いないのだが、それにしても、稲荷神社まででさえも急な階段が多く、そう楽ではないはずなのだが、きっと初めて訪れたのだろう、意外に遠い稲荷神社に驚いているのかもしれない。
そして登り慣れた山道を軽快に足を進めていたら五合目あたりで、今度は20代は前半だろう
若い女性が一人で降りてくるではないか・・・!。「こんにちは~・・!。」と挨拶を交わし
清々しくもにこやかな表情で軽快に降りていった。
リュックも持たずにトレーナー姿の彼女は、「何故一人でこの千歳山に~・・・?。」と、私は
どうでも良いそんなことをいろいろと想像しながら、又ゆっくりとひたすら山頂を目指した。
すると今度は、暫くは誰もいなかったはずの私の後ろから・・・だんだんと足音が近づいて来た。
その大きな歩幅もさることながら、息を切らすこともなく軽快に登るその後姿を見ていたら
“しなやかな体力”も超人的な、大井沢のあの“マタギ”の友人を思い出していた。
更に今度は、一分も経たないうちに、学生だろうか若い青年が親父に追いつこうとでもするように
私の脇を・・・なんと小走りで駆け上がっていった。
「何という体力なのだろう」と、のっしのっしと最近ようやく軽快に山頂を目指すことが出来るようになった私は、同じ年のころ、体力に任せて自転車旅行に明け暮れていたその“若きエネルギー”の素晴らしさを、ゆっくり登りながら、又思い出していた。
暫くして山頂にたどり着いた私は、その展望台で寄り添いながら絶景を見つめる二人の後ろ姿が、夕方の太陽を受けシルエットとなって見えた。夫婦なのか恋人なのかは別として、お互いひたすら登り続けたその先で、絶景を見ながら、その爽快感を二人で味わう・・・・・・というのも、なにかとても素敵に感じた。私も失礼ながらそのちょっと脇で、ミネラルウォーターをリュックから出し口に含みながら、暫し一人絶景を楽しんだ。
そして、今日の帰りは、初めての体験となる「万松寺」コースで降りていこうと決め、矢印の付いた小さな道標に従いながらゆっくりと降り始めた。
流石に上級者コース、途中急な岩肌に阻まれたり、段差の険しい丸太の階段が延々と続いたりと、私は「もしかするとここは心臓破りかも知れない・・・!」
などと、登る険しさを想像しながら、ここが帰りのコースだったことにほっとしていた。
(「万松寺」コースは、こんな岩場や、勾配の急な丸太の階段を登ることになる。)
でも何時かこのコースも必ず踏破して見せようと、自分の気力と、少しはしなやかになった私の体力を確認していた。そんな山道も、降りるごとにだんだんと景色も変わり、勾配も緩やかになり「万松寺」が見えてきた。
何時も朝6時と夕方6時に鐘の音を聞かせてくれる鐘突堂から、日曜日電気の消えた県庁のビルが見え・・・・登り始めてからほぼ一時間と少し、
・・・・今日は我が住むマンションの正面に下山した。
そこで万松寺の池で釣りをする少年たちを見たが、決して釣れそうには見えないその姿を見ていたら、大好きな「渓流釣り」を思い出し、あの美しい雄大な大自然に泳ぐ「山女」や、顔付もいかついあの「岩魚」を思い浮かべながら、私はその”渓流釣り”に、いったい何時行けるのだろうかと・・・・何時ものこと、又、頭の中で今月の仕事の段取りをしていた。