千歳山山頂と “落書き特集” |
どうしたことだろうか、私はひょっとして・・・千歳山山頂中毒になってしまったのだろうか?
先日、登頂したばかりなのに、まだ一週間も経たない快晴の昨日、ベランダから千歳山を眺めていたら、又、その山頂に登りたくなってしまい、何時も手に持って出掛けるミネラルウォーターだけを持って、スニーカーに履き替え早速出掛けた。
中毒の原因は、ほどほどに過酷で、休まず登るにはほぼ限界にある山頂だけに、その爽快感は格別で、何といっても、登った後で感じる爽快感とともに、何故か敏捷性や反射反応のような、体の“キレ”が良くなったように感じることだ。
これは、いろいろなところで結構効果が現れ、仕事の打ち合わせなどではその集中力が、明らかに増した感覚がある。
そんな何ともいえない魅力が中毒となって、ある一定の間隔で「登りたい!」と思うようだ。
昨日もそんな爽快感を味わいながら、快晴の青空、千歳山山頂の展望台で遠い山並みを見つめた。
昨日は風の透明度がよく、正面に見える山々を右から順番に、まずは「葉山連峰」、次が「月山」そして「朝日連峰」と「飯豊連峰」・・・一望に見渡せるほぼ180度のパノラマを楽しんだ。
そんな山頂にある展望台で、その板張りの壁に、マジックで書いたものや、ナイフで彫ったものなど、なにやらたくさんの落書きを見つけた。私は、ようやく登頂を果した私の息きを整え、持ってきたミネラルウォーターで、暫し体の水分を補給しながら、その一つ一つをゆっくり読んでみた。
中には冒頭の写真のような「富・美紗子」や「はるか・大介・・・ずっといっしょ。」など、読んでいるこちらが“ポッ”とするような、アツアツの落書きがあり、映画館や公園ではなく、二人がこの千歳山登山を選んだという、それがむしろ二人の価値観が同じだということをこの落書きから想像できた。
他には、この「でっかい人間になるぞ!」という、何歳の人が書いたのだろう、エベレストならいざ知らず、こんな千歳山の山頂に書かれても・・・それとも「体がでっさかい・・・?」だったりして・・(笑)
中には「終わりなき旅人」と題された、ちょっと読みづらい写真だが・・こんな落書きも・・・・
「適当な旅・何もかにも捨てた旅・何かを求める旅・何かを探す旅・何かを得ようとする旅・答えを探す旅・人生にけじめをつける旅」この人の旅は・・・いったいどんな旅だったのだろうか、「・・・人生にけじめをつける旅」だとしたらちょっと怖い感じもするが・・・!。
落書きといえば、最近日本国中が恥ずかしい思いになった“らくがき”騒ぎがあったばかりだ。
水戸市の常磐大高校野球部監督(30)がイタリア・フィレンツェの世界遺産地区にある
「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」に、自分と妻の名前を落書きしたことが発覚し
監督を解任されたり・・・・・
岐阜市立女子短大の学生6人が、イタリア・フィレンツェの同じ大聖堂に落書きをしたとして
大学から厳重注意処分を受けたり・・・・・・
日本国内でも例外ではなく、奈良・唐招提寺金堂の本尊の左側に侍す梵天立像は
大きな目鼻立ちと量感あふれる立ち姿で知られる国宝の仏像だが、もう一つ、この仏像を有名にしているのは、その台座の見えないところに描かれたまさしく「落書き」だというのだ。
ついこの間のこと、大井沢登山の時、“マタギ”の彼が、太いブナの木に、クマが爪で付けた傷をさして、それはマーキング(印づけ)といって、自分の存在を誇示する行為でもあるのだと聞いた。
それに、よく犬が電柱におしっこで、まさしくマーキングをする光景を見かけるが
人の落書きも、この動物的本能の名残かもしれない・・・などと、関心している場合ではない。
旅先の落書きは、特に情けなくも大学名や自分の名前を書き残すこの落書きは
単なる“愚かさ”のマーキングにすぎないのだ・・・ということを私たちは肝に銘じなければならない。
でも、ほのぼのとした千歳山展望台の落書きは・・目くじら立ててとがめるまでもないのだろう!
私は、はっ!・・・として思わず立ち止まり、ゆらゆら揺れる・・
そのなんともいえない美しさに・・・・暫し足を止めた。