“早朝登山” |
それならばと、先日、早朝7時前にマンションを出た。流石に朝のこの時間はむしろ清々しく、ショートパンツとTシャツで出掛けた私は何とも気持ちがいい。
私は何時もの千歳山登山口のあの鳥居をくぐり、石の階段を登ろうとしたときに、その登山口にあった何本かのこの“竹ぼうき”が目に入った。
思えば、山頂までのあるポイントには、確か何箇所かにこの“竹ぼうき”を見かけた場所があった。この登山口から直ぐに始まる連続した石の階段も勿論、山頂までの登山道には、ゴミ一つ落ちていないのは、登山者のマナーは勿論のことだろうが、この千歳山を管理する山形市が、定期的に清掃してくれていたのだろうと、市民に愛されるこの千歳山も、私の知らないところでそんな人たちに支えられていたことを改めて思った。
早朝明るくなると同時に登り始める人がいると聞いていたが、朝7時、もう下山途中の何人かの人たちと挨拶を交わし・・・すれ違った。
7合目付近で、あの下界を見下ろしているかのような「山ゆり」の花は、先日と変わらず今日も美しい。
私はここで一瞬立ち止まり、この「山ゆり」の香りを吸い込むがごときに、大きく深呼吸をし・・改めて足元を見詰めながら登りはじめた。朝の爽やかな風を暫く感じつづけながら軽快な足取りでようやく山頂に登り詰めた。
私は何時もこの山頂にある展望台に登り息を整えるのだが、この展望台の階段を、誰もいないと思って上り詰めたその見えない両側のこのベンチから、突然・・「こんにちは!」と、声を掛けられたり、ベンチに寝そべっている人がいたりと、息を呑むほどにびっくりしてしまうことが多いので、この正面に見える絶景を楽しむ前に、最近はまずこの両側のベンチを覗いて確認することにしている。
そろそろ仕事場に出掛けようとする人たちが動き出し、この下界もあわただしい一日が始まろうとしている・・そんな“街”を見下ろしながら、私もそろそろ仕事に着かなければならず、下山を始めた。
久しぶりに通ったこの「万松寺」コースは、流石に上級者コースとあって、ゴツゴツした岩肌を、すべり落ちまいと両手を突きながら丁寧に降りながら、誰もいない急な登山道をひたすら降り続けた。
暫くするとこの延々と続く丸太の階段が、一段一段降りるごとに足に体の重さがのしかかり、千歳山登山で、私は始めて膝の関節に負担を感じた。
登り始めたときとは若干気温が上がったように感じながら、車道沿いに見えた緑鮮やかに育った稲の群れに、何故だか懐かしさや美しさを感じ、暫し立ち止まった。
(冒頭の写真)