宮城県立美術館 「ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展」 |
空調工事とやらでだいぶ長い間休館となっていた「宮城県立美術館」だが、その工事もようやく終わり、、先月の10月7日から「ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展」が催されている。
ウィーン美術史美術館は、ヨーロッパ最大の貴族として栄華を誇っ“パプスブルグ”のコレクションを所蔵する美術館で、今回その中から75点が「宮城県立美術館」に上陸した。
その中でも超目玉は、19世紀のフランスの画家“マネ”が、「画家の中の画家」と呼んだあの “ベラスケス”の一枚だ。
それは、ディエゴ・ベラスケスが、国王の歴史画や肖像画を描くのが仕事という宮廷画家を務めていたときに描かれた、1651年生まれ、22歳でこの世を去った「マルガリータ・テレサ」の、五歳の時の肖像画だ。
肖像画に限らず、それまでの絵画技法において、金属や衣装や人肌のその質感は、細部に渡る気の遠くなるような精密画によって表現されていた。
私も、この「薔薇色の衣装のマルガリータ王女」の絵の正面に立ち、絨毯の上に立つ、レースで飾られた高価なドレスをまとい、金のネックレスとブレスレットを身に着けたマルガリータ王女の姿に目を凝らした。この完璧なまでの描写力によって伝わる質感!・・・私は身をのりだして細部の筆使いを凝視した。荒々しくも大胆なその筆遣い・・にも関わらず、ほど良い距離からは見事にその質感が伝わり、そのベラスケスの描写力に驚嘆する。
(花瓶に飾られた花の描写からも、その筆使いが伝わってくる。)
この「薔薇色の衣装のマルガリータ王女」は、最も早い時期のもので“マネ”に、「画家の中の画家」と呼ばせた代表的な一枚となったようだ。
この王女は、スペイン国王フェリペ四世の二番目の妻にあたるオーストラリアのマリア・アンナとの間の最初の子供である。ベラスケスはこの王女の肖像画を五つ描いている。
スペイン絵画の黄金時代であったバロック期の17世紀を代表する巨匠ディエゴ・ベラスケス。
その後、多くの画家に影響を与え続けたベラスケスのこの一枚に出会い、私は、あのフェルメールとは又違った衝撃を受けた。
この「ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展」は、12月14日(日)まで続く。