甲子園球場4万7000人の大観衆が見守る中、優勝のお立ち台で、中京大中京のエースで四番の堂林が泣いた!。「どうして泣くのですか・・!」と聞かれ、「あそこで抑えられずに・・情けない・・!」と、その涙は喜びの涙・・ではなく、悔しさの涙だった。優勝しながら悔し涙を流す・・などといった、私はこれまで高校野球選手権大会でそんな涙を見た記憶がない。エース堂林に、ここまで悔し涙を流させたのは、日本文理(新潟)に10対4と、6点の差を付け迎えた9回表、2アウト走者なしで、堂林があと一つアウトを取れば優勝という場面。6点差でアウト一つなのだから、たとえエース堂林がどんなに連打されても、「これで終わりか・・!。」と、誰しもが思うその状況に、エース堂林はが崩れ信じられない奇跡が起きた。
9回表、「日本文理」が2アウトから球史に残る奇跡の反撃が始まる。この朝日新聞の記事の左から順追って
、①・・まずは「切手孝太」が四球を選ぶ。その切手孝太は、「高橋隼を討ち取るだけに集中するはずだ」と盗塁を決めた
。②・・そして「高橋隼」が左中間への二塁打で「切手」が生還して一点と5点差に。「良くぞここで一点還した。」と、私はまだ奇跡を想像もしていない
。③・・次に「武石」がライト線三塁打で「高橋」が還り四点差。ここでエース堂林が悔しい降板。でもまだ四点差
。④・・次に「吉田」がデッドボールで出塁一三塁
。⑤・・今度は「高橋義」が四球を選び満塁に。「なになに~・・もしかして満塁ホームランで同点?。」と、ありえるかも知れない奇跡を想像して、私はここで椅子から立ち上がった
。⑥・・ここで更に「伊藤」がレフト前へヒット、2点を還し2点差に。「やったやったぁ~・・!」と、私は拍手喝采
。⑦・・今度は「石塚」がレフト前にヒットを放ちついに一点差になった。しかも尚一三塁。私はここで奇跡に立ち会うのか!と、そこで「若林」がバットの芯で捕らえるものの、運悪くサード正面にライナーで飛び、あっという間に試合が終わった。ここでようやく中京大中京が逃げ切り、43年ぶり7度目の優勝を決めた。でも、「若林」のあのライナーがもし・・少しでもずれて抜けていたら少なくとても三塁から一人還り同点に、その後の勝利の行方は・・。
そして、・・終わってみれば、9回表、走者なしの2アウトから、一つのアウトを取られることなく5点を捥ぎ取ったのだから・・選手たちの「誰一人諦めてなどいなかった。」というのは本当だったのだ。つまり、この結果を、日本文理の選手たちに決して奇跡と言ってはいけないのだろう!。日本文理が勝負に負けたとは言え・・・少なくともこの第91回全国高校野球選手権大会決勝戦が球史に残り、今後永遠に
「諦めてはいけない!」ことが、言い伝えられるに違いない。
感動!・・・やっぱり、野球はツーアウトから! だった。