疲れ気味?・・私たちの比ではない 「デイリー・ニュース」の面々! |
サラリーマンではない私でも、この連休を仕事を抱えながら“映画祭”に通いつめるのは簡単なことではないが、この映画祭には、私たちの・・そんな比ではない人たちがいる。それは、いつも観客に好評で、映画祭には欠かせない、私たち「市民賞」と同じボランティアグループ「デイリーニュース」の面々である。
このグループは、勿論ただ机に座ってキーボードで文字を打ち続けているだけではない。学生ボランティアも含め、その日に上映された世界各国の映画の監督に、まずはカメラを持って取材に駆けつけることから始まるのだ。ボランティアとは言っても、監督に対して決して失礼があってはならないのだから、誰が何処で何を聞くのか、取材で聞きたい事を事前に打ち合わせ、取材される側とする側のルールを理解し、そのカメラの位置まで考えておかなければならないのだ。そして、その取材で得た写真や聞き取った貴重な録音やメモを、早速スタッフルームに持ち帰り、それを即座に記事として文章にしなければならない。それが、何とかまとまれば、他のスタッフによってチェックされ編集長のOKが出て、ようやく一つの記事となる。・・・が、今度はそれを、世界へ伝えるために通訳によって正確に素早く英文化されなければならない。
そして、出来上がった「デイリーニュース」は大量に印刷され、各会場の受付カウンターや、イベント会場など、誰でも手にしやすいようにいたるところに積み重ねられることで、ようやくその日のデイリーニュースの完成なのである。
(左はその第一号。現在第三号まで完成している。)しかし、一日分のここまでの道のり。前日上映されたその記事が、次の日には必ずいたるところに並んでいるのだから、この「デイリーニュース」のスタッフが、どれほどに睡眠を削っていることか、誰でもが想像は出きる。そんな仲間には、映画祭期間中は自宅に帰れない日も何度かあるといい、睡眠が2~3時間というのは覚悟の上なのだという。
二年に一度開かれるこの「山形国際ドキュメンタリー映画祭」に、私が20年前にボランティアとして参加を決めたのは、勿論映画が好きだから・・に他ならないが、この「デイリーニュース」の面々も、それは同じ事である。
・・にも関わらず、映画祭期間中は、特に「デイリーニュース」のこの面々は、こんな仕事に日々費やされ、映画を観る・・などという時間はあるはずもなく、なにやら、良く考えてみれば本末転倒に見えてくるのだ。が、かろうじて、映画祭の開催前に、こんなスタッフたちのためにも“事前上映会”なるものが行われ、時間が取れるだけ映画が見られる・・・・というわけである。
私たちは、そこまでして映画祭に関わり続けるのは、”映画が好きだ”からこそ、この映画祭を守り続けて行かなければならないという思いからなのだ。
「市民賞」・「デイリーニュース」・「会場係」・「通訳」・・などなど、このほとんどがボランティアによって支えられているこの映画祭。
なぜに・・“ひと”は・・映画を創り続けるのか・・?。そして、なぜに“ひと”は映画に群がるのか・・?。それは、”ひと”を知り自分を知る、そして私たちが“生きていること”をリアルに実感しながら、より深く、より豊かに生き抜きたいから・・・なのかもしれない。