二年ほど前に体験し、「私は、知っている・・!」と思っていた、地吹雪による“ホワイトアウト“だったが、先日の酒田や鶴岡で、その恐怖を遥かに越える“ホワイトアウト“を体験をしてしまった。それは、一瞬視界がなくなる・・のではなく、夜の10時を過ぎ、時々灯る前の車のブレーキランプや、360度、延々と闇と吹雪き・・意外には何も見えないのである。先週は、そんな、命の危険すら感じた週末となったのだが、次の日の日曜日は気温も上がり、前日の寒波や地吹雪からは想像も出来ないほどに穏やかさを取り戻していた。幸運にも、無事に仕事を終えた私は、前の日の疲れを取ろうと、朝一番に日帰り温泉「スパガーデン」で体を癒した。
そして、朝から妙にお腹がすいてしまった私は、「あの「海鮮どんや」で、「朝から刺身定食」を完食である(左。窓の外には「とびしま丸」が見える。)そして、少しは気持に余裕が出きた私は、「土門拳記念館」で行われている、「土門拳と土門拳賞作品展」に車を走らせた。駐車場から「土門拳記念館」までのアプローチは、昨日降り続いた雪が20センチほど積もっていて、「これが昨日の地吹雪の足跡か・・」と、私はその雪を手で握ってみた。
館内は、私一人だけの足音が響き、貸しきり状態。私は、もう一度“こころ“を穏やかにして、ゆっくりと観賞してまわった。この権威ある「土門拳賞」は、「土門拳」が脳血栓を起こし、目を覚ますことなく昏睡状態が9年目を迎えた、1982年、毎日新聞社により設立され、今年で28年目となる。この「作品展」では、その第一回目から六回目までの、その作者ごとに受賞作品が展示されている。まさに、リアリズム写真を追い続けた「土門拳」の意思を継ぐように、ある一瞬を写し撮った個性溢れる見事なその一枚一枚に、私は目を奪われ続けた。
そして、「土門拳」の「筑豊のこどもたち」を見ようと、「企画展示室Ⅱ」に入った瞬間、「あぁ~・・綺麗だぁ~・・!」と独り言。この建築の設計者の「谷口吉生」と、花道花月流家元「勅使河原蒼風」が見事に合体した、正面に現れた庭園・・『流れ』(上)。何時もは玉砂利で埋め尽くされているその光景は(下)、昨日降り続いた真っ白な雪によって、「凍てつく美しい泉」を思わせ、私は、「筑豊のこどもたち」の写真に囲まれながら、この椅子に腰を下ろした。ここを訪れるたびに、この庭園の枯山水のように動かない庭にも、その時どきの表情を感じることが出来る。この二人の芸術家の、決して消えることの無い見事なこの“たくらみ“を、私は、僅かの間じっと受け止めてみた。