たった一文字を改ざんした罪の大きさ! |
一見、庶民からかけ離れて見えるこのエリート達が、変らぬその“こころ”に闇を抱えながら、犯罪に手を染め、そしてその権力や地位を一瞬にして失う。その追い詰めていく“さま”の面白さに引き込まれながら、権力や地位の“もろさ”と、“ひと”そのものの“もろさ”をも知る。「松本清張」の作品には、そんな魅力があるのだが、この超エリートは、殺人を犯したり、人を傷つけたりしたわけでもなく、証拠とされたフロッピーディスクの、そのたった一文字、・・1・・を8・・と書き換えただけで、一瞬にしてその地位を失ってしまった・・主任検事、「前田恒彦」。
今日の朝日新聞によると、「FDは重要な証拠なのに、何故返却したのか」と同僚が訪ねたところ、彼は、「FDに時限爆弾を仕掛けた。プロパティーを(最終更新日時)を変えた」と答えたという。超エリートらしからぬ愚かさ!、自ら仕掛けたその爆弾は、何時しか自分自身を破壊する時限爆弾となってしまうのだ・・ということに、どうして気が付かなかったのだろうか?。
私たちは、“庶民”と言えど、罪を犯した“ひと”を裁かなければならない「裁判員制度」を真剣に受け止めながら、ならばこそ「死刑制度」を議論しようという矢先の、信じられないこの犯罪!。
もし・・・もしも、前代未聞だというこの犯罪が、氷山の一角だとか、組織ぐるみ・・であったならば、“司法”という、その全ての土台が崩壊する。