何故今・・・“保育所”なのか? |
建築をなりわいとする私は、特に最近になって、そんなビルを所有するいろいろなお客様から、その空き部屋のスペースや、テナントビル丸ごとの活用方法等の相談を受ける事が多くなった。以前は賑わいを見せた山形市の中心商店街であった七日町通りも空きテナント増え、歩道に面した1階ならまだしも、2階から上階にいくに従って空きテナントスペースも増えている。そんな通りにビルを持つあるお客様は、その上階のガランとしたスペースを細かく間仕切りをして、車を所有しない高齢者専用共同住宅に出来ないか?。・・・又あるお客様は、空いている三階四階のスペースを間仕切りし、駐車場を必要としない学生用のワンルームアパートに出来ないか?・・など。でも、共同住宅となれば建築基準法は全く厳しくなり、それに上水道の使用量は激増するために、受水槽やポンプの大きさなどに巨額の経費が掛からないか?、又天井裏や床下など、その配管可能なスペースが取れるのかどうか・・と、それは、そう簡単に転用出きるものではない。そのビルの、既存の図面を睨みながら、私は設備担当のスタッフと一緒に天井裏や床下に潜り込み、様々なシュミレーションを重ねいろいろな可能性を探ろうと検討を続けるのである。
そして、先日からあるお客様から相談を受け、既存図面とにらめっこしながら奮闘を続けているテナントビルがある。それは、約8割が空き部屋となった、約200坪ある鉄骨二階建てのビルで、その構造体だけを残して、そのビル丸ごと認可を受けた保育所に再建築できないか?・・というものである。
小子化問題を抱える昨今、何故今・・・「保育所」なのか?・をお客様からお話を伺えば、
1970年後半から出生数が落ち続けている小子化問題を抱えながらも、保育所入所申請をしているにもかかわらず、希望する保育所が満員である等の理由で保育所に入所できない状態にある“待機児童”は、2010年4月の統計でも全国で26,275人も存在する。その原因は、女性の就労機会の上昇、それにライフスタイルの変化によって結婚・育児の人生における優先順位が低下する中、結婚や育児・教育環境に高い条件を求める傾向が強まっていから・・なのだという。この問題に対する政策として、社会福祉法人などの保育所建設に、土地に上限5.500万、建物に一億8.000万の補助が行なわれるのである。(それには、勿論様々な条件が整わなければならない。この計画は、その補助を期待しているわけではない。)
私は、まずは、認可基準に合致した間取りが可能な面積かどうか?、それに幼児が相手の保育所となれば、車による送迎のスペースや、幼児に合った管理の行き届く階段の位置など、基本におかなければならない事がたくさんある。検討に検討を重ねた結果、先日、ようやく私なりの可能なプランを作り上げる事が出来た。
突然ですが、下は、色付き始めた今日の千歳山山頂付近の一枚。