映画 “陰日向に咲く” |
30年近くお店づくりを共にさせていただいている・・某・お菓子店の先先代社長が
大分前に趣味で始めたという写真は、今では“写真家”となって作品展を重ね
私は、その作品展を毎年訪れるたびに、今でも毎回彼の写真から新鮮な刺激を受けている。
以前、お菓子の路面店新築という大事な仕事のデザインと設計をさせていただいては
「その壁にはどんな絵が似合うのか・・・」と、二人で画廊を走り回ったり
「このお菓子の包装はどうだろう?」・・・などと、どんなことでもお互いに感性で語り合ったりと
私が20代の生意気だったころから30年もたった現在も
いろいろな意味で私を今も育てていただいている。
私は、そんな写真展 「第3回 フォト飛翔 写真展 2008“思いを込めて”」 が開かれている
山形市の「ナナビーンズ」に向かっていた。
「ナナビーンズ」のある七日町は、昨年11月に惜しまれながら閉館した映画館「シネマ旭」
に近く、映画館の並ぶ街でもある。
私はしばらく映画を観ていなかったことに気づき、今上映されている数々の映画の中から
今週の“映画興行成績ランキング一位”を獲得していた“陰日向に咲く”を思い出し
「ナナビーンズ」に向かう前に、その近くにある映画館「ミューズ」に急いだ。
会場は平日とあってか観客はまばら。
私は、客席の中段中央をキープし、昨年の「ドキュメンタリー映画祭」以来となる
このスクリーンを見つめた。
映画“陰日向に咲く”。
カメラは、新宿の高層ビル街上空から旋回しながら降りてきて、都会のど真ん中のバスの中で
運転手シンヤを演じる「岡田准一」に焦点が合わされ物語が始まった。
ギャンブルでサラ金から借金を重ねながら、そのパチンコがやめられないというどうしようもないこのシンヤという男、「西田敏行」の演ずるホームレスにあこがれるエリートサラリーマン「三浦友和」といった・・どうしようもなくだめな男たちが次々に登場する。
それでも魅力溢れる人間男女9人が複雑に絡み合い、実は“親子だった”り、“恋人だった”りと
どんどん繋がってゆく展開はとても面白く、これまでに無い新鮮さを感じさせた。
そして、だからこそ伝わってきた“にんげん”の深い魅力は、物語が進むにつれて増幅し・・
圧倒的に面白い。
ベテラン勢の前に、だめな青年を演じた「岡田准一」と、母と娘という二役を見事に演じた「宮崎あおい」。この若い二人の演技が、キラキラ光る爽やかさと、飾らない見事な演技力がこの映画を引き締め感動させた。
「ナースのお仕事」などの脚本で知られ
2005年「電車男」で映画デビューした気鋭の・・・脚本家「金子ありさ」。
テレビドラマ「世界の中心で愛を叫ぶ」を演出した35歳のホープ・・・監督「平河雄一朗」。
そして何よりも、80万部を超えるのベストセラー小説「陰日向に咲く」をこの世に生み出し、普段あまり小説を読まないという・・・・「劇団ひとり」のその才能!。
“ひと”が“ひと”と複雑に関わりながら“にんげん”の・・・・弱さ・ずるさ・怒り・優しさ・片思い・親子・夫婦・恋そして愛・・・・を、見事に表現してみせたこの三人に魅了された。
しかもエンドクレジットに流れた人気ヒップホップグループ「ケツメイシ」の音楽で・・
なおも、とどめをさされた感じだ。
ここのところとても涙もろくなった私は、もしかすると・・・
この人達の企てに、ただ・・・すっかり“のせられてしまった・・・・”
だけなのかもしれない。