北京オリンピック “鳥の巣” の中 |
水泳:北島康介の“金メダル!”
前回のアテネオリンピックで「超きもちいい!」と語った彼が、今回のインタビューのマイクを前に、言葉にならず涙ぐむ彼の姿から、一度は不調に悩まされるも、沢山の人たちの二連覇の期待を背負いながら、その重圧にもめげずに、見事に勝ち取った彼の感動は・・いったいどれほどなのだろうか・・?
柔道:内柴正人の“金メダル!”
決勝戦で、相手の“まいった”の合図にも気が付かないほどに試合に集中していた彼は、「この金メダルはしんどかったです!。」、又「親父の仕事をしました。」と、北島康介と同じように“二連覇”・・・という、世界の頂点に立ち続けることは、そう簡単なことではない・・ということを、この二人の表情を見れば凡人の私にも充分に想像は出来た。
柔道:谷亮子の“銅メダル!”
00年シドニーと04年アテネて゛五輪に連覇をはたしたものの、今回は、銅メダルと三連覇を果たせなかった谷亮子。確かに以前の彼女のように、キラッ・・と光る、切れのある鋭い技が影を潜めた感じがした。
しかし、表彰台に上がった彼女の表情はむしろ清々しかった。
それに、判定に対する不満は一切語らず“母”の顔で、明るくインタビューに応える彼女。
・・私は、そんな谷亮子が“ひと”としてもとても素敵だと思った。
これらの日本選手に限らず、世界の頂点に立つ者の瞳は、例外なく輝く。
日々、沢山のそんな感動のある「北京オリンピック」が、8日、華々しい開会式によって開幕した。その開会式では、空前の厳戒のもとで、「鳥の巣」のその巣の中で壮大な歴史絵巻が繰広げられ、その圧倒的な規模と、衣装や音楽や照明といった見事なショーを魅せてくれた。
1987年『紅いコーリャン』、95年『上海ルージュ』など、日本でも話題となった映画の映画監督監督:張芸謀(チャン・イーモウ)氏、開会式演出の総監督を務めた彼の感性が輝いた。
ただ、冒頭の写真のように、多くの中国国民によって繰広げられる一糸乱れぬ・・・想像を絶する精密機械のようなその姿は、どこか馴染めない違和感を感じ、「一人の失敗が全体の大きな失敗を引き起こす」・・ということを体感させ、チームワークと全体主義を教え込むのだという・・北朝鮮で行われるアリラン祭でのあの“マスゲーム”を連想させた。
三月のチベット騒乱、そして四川大地震から三ヶ月、オリンピックという「百年の夢」を実現させた中国・・・そして、天安門事件など、常に武力によって解決してきた中国。
開会式会場の大スクリーンに、中国古代の思想家・孔子の「朋あり遠方より来たる、また楽しからずや」・・という名言が中国語と英語で表記された。
その中国は、オリンピックが終われば、世界に向け、今度は何を発信しようとするのだろうか。
そんな華々しい開会式のその最中、南オセチアでは、大規模な軍事衝突があり、グルジアでロシア軍の空爆を受け、泣き叫びながら親類を抱きかかえる同じ日のこの一枚の写真(朝日新聞)が、私にはとても印象的だった。
今日はまだ8月12日、オリンピックと高校野球をリモコンで交互に変えながら「より速く、より高く、より強く」」、という“オリンピックの精神”のもと、私の感動もまだまだ続く!。