“一寸亭本店”の「肉そば」 |
かねてより設計中だった引き舞い工事を伴う住宅の新築工事の図面が完成し、資材の高騰によりその見積もり金額に苦慮しながら、建設業者と施主との間でようやく合意が成立した。
着工の運びとなった先日、その現場で業者と第1回目の打ち合わせを行った。
その現場というのは、河北町谷地の、ある住宅地の一角なのだが・・谷地・・と言えば・・・・
蕎麦屋「一寸亭」、「一寸亭」といえば・・・あの「肉そば」。
この日の私の昼食は、この「一寸亭」と決め、久しぶりに「サハト紅花」向かいの「一寸亭本店」を訪れた。さすがに人気のお店で、まだ昼12時の少し前だと言うのに、広い駐車場は満車状態。既に食べ終わって出てくる人も居て、私はその車と入れ替わりに止めることが出来た。
店内は、老若男女、ほぼ8割の人たちが、この「肉そば」を注文。
河北町が発祥の名物「肉そば」は、一年を通して県内外から人気か高く、この「肉そば」を食べるために何度も訪れる「そば通」も少なくない。特に、「冷たい肉そば」。地元の夏は勿論、冬でもこの「冷たい肉そば」を食べる。発祥は大正時代と言われ、汁が冷たいのは、そばのコシを生かすためで、当時街に多かった養鶏場の鶏の肉が使われた。それが絶妙にマッチし、地域の特性を生かした名物に、醤油ベースの汁は、田舎風のちょっぴりやさしい甘じょっぱい味。トッピングした鶏肉とネギの旨味もあいまって、いつのまにかやみつきになる。
(「一寸亭」のリーフレットより)
癖の無い醤油ベースのスープ゚に、コリコリとした不思議な鶏肉の食感と、コシのあるそばが絶妙な味わいを作り出し、まさしくリーフレットどおりで“や・み・つ・き”になってしまう。
そんな「肉そば」を堪能した私は、現場で業者と合流、まずは既存の解体部分と、引き舞い工事の段取りを確認いした。
引き舞い工事とは、既存の建物を土台ごと基礎から分離するように持ち上げ、それを予定している場所に移動する・・という工事なのだが、軽い木造の建物だけではなく、土蔵のような重い建物も意外に簡単に移動することが出来る。
(今回の工事で、右写真の建物の一部を引き舞いする。)
私も、何年か前に、その蔵の引き舞い工事を経験したことがあった。
まずは基礎に穴を開け、そこからH型鋼を刺し抜き、丁寧にジャッキで持ち上げる。次に、引き舞い用に井桁に組んだ土台に電車のレールに似たものを敷いて、その上に建物を乗せる。そこまでは想像通りの光景だったのだが、何と・・驚いたのは、その蔵にワイヤーを巻きつけ、水平ジャッキで蔵を引っ張るのだが、あのとてつもなく重い蔵を、何と一人の力で充分に引っ張ることが出来るだ。カチャカチャカチャ・・とジャッキをゆっくりと巻き上げると、その蔵の巨体がミリ単位でゆっくりと移動を始めるのだ。
聞けば、道路の反対側まで移動させたり、石蔵も移動させることが出来ると聞いた。
又、木造の住宅などの引き舞いは、その建物の中で生活を続けながら移動させたりもするらしく、人の“チカラ”は、とてつもないものだと、その時改めて思った。
さて、今回のこの引き舞い工事が、道具や資材など、又その方法はその後どんな進化を見せているのか、その現場で立ち会う瞬間が楽しみだ。