ビエンナーレで行なわれている「山形国際ドキュメンタリー映画祭」が、又今年の10月山形で開催される。世界を代表する「ドキュメンタリー映画祭」も今年で第12回目を迎えるが、事務局は勿論、スタッフやボランティアの人たちは既に動き始めている。「市民賞」のスタッフとして22年前の第一回目から参加している私の元に、昨日、大賞を競う「インターナショナル・コンペティション部門」の15本が決定したという情報と、その詳細のメールが届いた。
今回の特徴は、戦争や老い・・と言った「生と死」を題材にした秀作が多いといい、前回惜しくも日本の作品は選ばれなかったが、今回、この15本の中に一本だけ日本の作品が含まれていた。それは、2005年に34歳の若さで急逝した、AV女優とも言われ、「松中由美香」という名前での作品もある、女優・「林由美香」を題材とした、監督:平野勝之の『監督失格』という作品である。

平野監督と女優・「林由美香」とは仕事仲間であると同時に、元恋人という関係だったのだという。そんな女優・「林由美香」は、2005年6月28日、自宅で亡くなっているのが発見される。警察発表によれば、死因は事件性・事故性のない自然死で、死亡推定時刻が発見から二日前、それに何と誕生日1日前の6月26日22時とされている。一部報道では自殺説や薬と酒による窒息死説などが囁かれたが、詳細な死因は未公表のままなのだという。
彼女は、1989年5月、「小栗由美香」名で出演したカラミのないアダルトビデオ・『ドクドクどっきん身体検査』・でデビュー。2004年には圧倒的な投票数により「第17回ピンク大賞」の女優賞を受賞、更に、その時の作品がドイツの「ライプツィヒ国際映画祭」にも招待されたのだそうだ。あの「報道ステーション」で、よく亡くなった著名人を追悼する・・『さよなら… 』・・が企画されるが、女優・「林由美香」の死が報道されるやいなや、彼女の特集も放送されたようだ。

1997年のアダルトビデオ作品・・『東京〜礼文島41日間ツーリングドキュメント わくわく不倫旅行』・・は、実際にその時不倫関係にあった「平野勝之」監督とともに、東京から北海道まで自転車旅行した記録をもとにしたドキュメンタリーであるが、『由美香』・・というタイトルで劇場公開され、既に話題となっていた。今回の『監督失格』は、映画監督やアニメーターであり、株式会社カラー代表取締役社長でもある「庵野 秀明」氏がプロデュースだという。
よく、男は“社会的な動物”であり、女性は“個的な生き物”だと言れるが、女優・「林由美香」(左)を良く知る人には、彼女ほど最初から最後まで時代や社会に我関せず・・と生き、一度だって「社会」にとけ込もうとも、受け入れられようと媚びを売ることもしなったという。
更に・・・、「林由美香」は、一度だって誰のものでもなかった!・・ともいう。

さて、そんな彼女の最も身近な人物だったと言える「平野勝之」氏(右)の、その視点で捕らえた女優・「林由美香」の魅力をどんな風に描いて見せたのか、私は今からこの映画と出会えるのが楽しみである。
映画『監督失格』は9月3日から東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで独占先行公開される。彼女は、長年の親友である吉行由実監督のピンク映画・・『ミスピーチ 巨乳は桃の甘み』・・が遺作となったようだ。(画像は全てネットから)